クレーンの災害事例
CR02111
事  例

移動式クレーンの巻き上げ用ロープが破断

[原因と対策]
業  種 建築工事業業 機  種 トラッククレーン
被  災 死亡 1名 休業 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 本災害は,建築工事現場に設置されていたクライミングクレーンを,つり上げ荷重120トンの移動式クレーンを用いて解体するため,クライミングクレーンのジブに玉掛けして巻上げ旋回中,移動式クレーンの巻上げ用ワイヤロープが切断して,つっていたジブが落下し,クライミングクレーンの解体工事に従事していた労働者が,荷の直撃や高所からの転落により3名が死傷したものである.
解体作業は4日前から行われており,災害当日は鳶工5名,クライミングクレーンオぺレーター1名,つり上げ荷重25トン及び120トンの移動式クレーンオぺレーターそれぞれ1名,クレーン解体指導員2名の合計10名によって作業が行われた.
朝礼終了後,まずクライミングクレーンのジブの点検用タラップを外し,120トンの移動式クレーンで地上に下ろした.9時半頃から120トン移動式クレーンの補助ジブのフックに掛けたマルチスリングをクライミングクレーンのジブに玉掛けし,移動式クレーンで若干巻上げ,ジブを僅かに浮かせた.
続いてクライミングクレーンに取り付けてある起伏及び主巻きワイヤロープをジブに番線で結束した.10時半頃からクライミングクレーンのジブを本体から取り外すため,3本の接続ピンを抜く作業にかかった.
2本目のピンを抜いたところ,クライミングクレーンのジブが若干旋回し始めたので旋回を止めるために移動式クレーンを操作し,ジブが安定するようにした.
3本目のピンを抜くため移動式クレーンで巻上げようとしたところ,一瞬操作ができない状態になったので,オペレーターが補助ジブの起伏ワイヤロープの巻き下げを行ったところ,再び巻上げが出来るようになった.そこで巻上げ操作を行って3本目のピンを抜いたが,この時点で移動式クレーンの補助ジブにクライミングクレーンのジブの重量が完全にかかった状態になった.
つり荷のジブを地上に下ろすため,補助ジブを旋回させようとしたところ,つり荷が安定せず僅かに回転し始めたので,荷にワイヤロープを掛けて回転を阻止するようにした.
11時20分頃移動式クレーンの補助ジブを旋回させ,クライミングクレーンの本体から約2メートル離れた位置に沿って荷を下ろそうとしたところ,移動式クレーン自体ががたがたと揺れ始め,間もなく補助ジブ先端から大きな音がしてワイヤロープが切断し,つり荷のジブが解体中のクライミングクレーンの上部作業台に当って落下した.
この際,上部作業台上にいた鳶工のAにジブが当たり,Aは約8メートル下のクライミングクレーンの旋回台上に墜落した.上部作業台にいた鳶工のBもジブが衝突した衝撃で転倒し,腰部を打撲した.さらに,旋回台上に待避していたクライミングクレーン運転士Cが約12メートル下の地上に墜落した.
破断したワイヤロープは約5年間使用されたものであったが,事故後の調査では破断箇所以外で素線切れ等の損傷は認められなかった.
また,ロープの強度もつり荷に耐えられるものであった.しかし,補助ジブ先端のトップシーブの上部に取り付けてあるワイヤロープの外れ止めピン(直径25mm)に大きなくぼみと変形が生じていた.
cr02111.jpg
 
 
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