クレーンの災害事例
CR06041
事  例

作業架台を吊ったクローラクレーンが転倒し,架台上にいた作業者が架台と共に墜落する

[原因と対策]
業  種 建設業 機  種 クローラクレーン
被  災 死亡 2名 休業 1名 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし  本災害は,道路脇の法面保護工事現場において,クローラクレーン(つり上げ荷重80.8t)を用いて法面にアースアンカーを取付ける作業中,約19.5mにつり上げた作業架台の上に,法面から,3名の作業者が一人づつ親綱を伝って乗り移ったところ,クローラクレーンが転倒し,3名の作業者が作業架台とともに作業道に落下し,そのうち2名が死亡し,1名が負傷したものである.
災害発生当日,アースアンカー作業を行う5名の作業者(A,B,C,D 及びE)とクレーン運転士は,朝礼で現場代理人からアースアンカー工事の作業指示を受け,風速が10m/s未満であることを確認した後,7時半ごろからアースアンカー作業を開始した.まず,クローラクレーンにより,作業道の南に置いてあった発電機と油圧ユニットを北側に移動させ,次いで,同クレーンを災害発生時の位置に移動させてから,作業道の北側にあった作業架台を油圧ユニットの近くに移動させた.次に,作業架台上の削孔機とユニットをホースで接続した後,つり架台をつり上げ,法面(東)側に旋回させ,法面の下から6段目のアースアンカー工事予定場所(削孔位置)に移動させた.この間にA,B およびC の3名の作業者は昇降階段を利用して法面最上部まで移動していたが,作業架台が作業位置に移動したのを確認してから,法面上部から垂らされていた親綱にロリップ式安全帯を取り付けて,法面上部から作業架台まで約10m を一人づつ下降し,作業架台に乗り移った.
  なお,このとき,作業者E は工事現場の北側にあるセメントミルクのプラントの準備作業に向かっており,作業者D は作業道上において運転士への合図と作業者E への連絡を担当していた.8時35分頃,最後の作業者が作業架台に乗って親綱からロリップを外したところ,クローラクレーンがジブを南側にしてゆっくりと転倒し,作業架台が逆さの状態で落下してジブの下敷きとなった.作業架台上の3名の作業者も作業架台とともに作業道まで約19.5m 落下し,架台から道路上に投げ出され,作業者A 及びB の2名は死亡,作業者C は負傷した.なお,作業架台に乗った3名はいずれも安全帯を使用していなかった.
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