クレーンの災害事例
CR11021
事  例

ホイールクレーンでL型擁壁の立て起こし作業中,玉掛け補助者が下敷きとなり死亡

[原因と対策]
業  種 土木工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の転倒による挟圧
 
あらまし  本災害は,擁壁の据付工事において,つり上げ荷重26tの移動式クレーン(ジブが伸縮するホイールクレーン)を用いて立て起こしたL型擁壁(縦3.02m×横1.5m×長さ2.0m,質量4.3t)に取り付けられていた専用のつり金具を外したところ,同擁壁が倒れ,つり金具を外すために立てかけていたはしごを支えていた被災者が,倒れてきたL型擁壁の下敷きとなり死亡したものである。
 災害発生当日,現場では,職長,移動式クレーン運転手,及び玉掛け作業者3名(被災者A,同僚B及びC)の合計5名で,移動式クレーンを使用して,搬入されたL型擁壁を土地境界線に沿ったコンクリート基礎上に据え付ける作業を行っていた。
 この作業の手順は,@床に寝かせた状態のL型擁壁を親フック及び子フックの両方を使って立て起こし,擁壁面に垂直方向に配置した盤木の上に仮置きし,A擁壁上部に掛けたワイヤロープはそのままで,子フックに掛けていた底面側のワイヤロープを長い物に換えて親フックに掛け,親フックだけでの4点つりで擁壁をつり上げ,移動させて境界基礎に据え付けるもので(災害発生状況図参照),@及びAを続けて1基ずつ行うように定められており,前日には被災者を含む作業者に対して,正しい手順に関する約1時間の実地訓練が行われていた。当初は実地訓練の手順に従って1基ずつ作業を行う予定であったが,休憩時間に3人の玉掛け作業者が話し合って@の立て起こし作業を3基分まとめて実施する方が効率的と判断し,職長に報告することなくその手順で作業を実施することとした。その変更後の手順では,立て起こして盤木の上に仮置きされた擁壁は,次の擁壁の立て起こしのために,一旦4点全ての玉掛け用具が外され,何ら転倒防止措置が講じられていない自立状態となるものであった。さらに擁壁底面に敷いた盤木の方向が擁壁面に平行で,その位置も底面前後端部からかなり中央寄りと不安定なものであった。本災害発生時,この方法で1基目の仮置き作業は無事終了したものの,2基目の仮置きの最終段階として,玉掛け者Bが擁壁(の外壁面側)に掛けたはしごに上って擁壁上部の玉掛けを外し,もう一人の玉掛け者Cが擁壁底面の玉掛けを外したところ,擁壁がはしご側(底部が上に回転する方向)に倒れ,Bは瞬時に飛び降りていて無事だったものの,はしごの下部を支えていた被災者Aが倒れた擁壁の下敷きとなり被災したものである。
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