クレーンの災害事例
CR89111
事  例

塔型ジブクレーンが転倒

[原因と対策]
業  種 造船業 機  種 ジブクレーン
被  災 休業 1名 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし 災害発生事業場の構内にある加工工場で加工するための鋼材をストックヤードから工場内に搬入する作業中に災害が発生した.
当事業場の構内には,重量物を台車で運搬するためのレールが敷設されており,岸壁近くのストックヤードに置いてあったアングル材を,つり上げ荷重10tの塔型ジブクレーンにより当該レール上に置かれた台車の上まで運搬していた,鋼材を乗せた後,その台車を加工工場に運び込む予定であった.
災害発生当日,朝から短いアングルを2回にわたって台車まで運搬した.3回目には長さ約20mのアングル材10本を運搬することとしていた.3名の玉掛作業者が専用つり具を用いて玉掛けし,巻き上げの合図を行った.その際,玉掛け作業者から運転者に対して荷の重量(実際はつり具,フックを含めて約10tであった.)を知らせることはしなかったが,運転者はつり荷の重量を約7tと目測していた.
運転者は約3m巻き上げた後,台車の方向に走行を始めると同時にジブを海方向に施回させた.つり上げた地点から約9m走行した地点で突然クレーン本体が海側に転倒し運転室がつぶれてしまったため,クレーンの運転者が被災した.たまたま,その場所には台船が係留されており,その台船上にクレーン本体が倒れたので運転席の水没はまぬがれた. 転倒時の荷と旋回中心との距離に見合った定格荷重は4.5tであり,明らかに過負荷の状態であった.
なお,本クレーンが製造されたのは相当に古く,現行のクレーン構造規格に定めのある過負荷防止装置を備えていなかった.
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