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あらまし |
災害が発生したのは主に土木工事を行っている建設業の事業場である.この事業場は以前に道路新設工事を請け負って施工したが,その道路の舗装面が傷んだため,1週間程の工期で補修工事を行うこととなった.
災害発生当日は,補修を行う箇所のアスファルトをカッターにより切断する作業及び舗装工事に使用する機材の運搬作業を行う予定となっていた.
午前中被災者を含む3名の作業者が現場に行き,カッターによる切断作業を行った.作業終了後,被災者らは本社事務所に戻り,午後から工事に使用するローラー(重量1.6t)を現場に運ぶこととなった.運搬には運送会社所有の車両積載型トラッククレーン(トラックの積載重量4t,クレーンのつり上げ荷重2.93t)を使用し,作業には運送会社の従業員Aと被災者の2名が当たった.被災者らは会社車庫でローラーの積込みを行い,被災者がこのトラックを運転し,Aは別のトラックを運転して現場に向かった.
現場の道路横には少しの平地があり,ここを資機材置場として使用していたので,運搬したローラーもここに下ろすことになっていた.
被災者は先に現場に到着し,一人で荷台のローラーを下ろす作業を開始したが,Aが現場に到着したときは既にローラーをつり上げているところであった.Aは資機材置場の手前にトラックを止め,車から降りて見ると,被災者がジブを左側に旋回させており,つり荷のローラーが揺れ,クレーンの車体も上下に揺れていた.
Aがつり荷の揺れを止めようと近付こうとしたとき,クレーンの右側が浮き上がって転倒した.車体の左側で操作していた被災者はとっさに逃げようとしたが,転倒してきたクレーンのジブの下敷きとなった.
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