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あらまし |
災害が発生した事業場は,一般家屋のエクステリア用アルミニウム製品を製造する事業場である.この事業場では,アルミニウム材料及び製品の運搬などのために工場棟ごとに2〜3台の天井クレーンが設置されており,合計て数十基のクレーンが設置されている.これらのクレーンの保守管理には20名弱の保全部門の作業員が当たっており,定期自主検査,補修,整備等の業務を行っている.
災害発生当日は,先に行った月次の定期自主検査の結呆,巻上用ワイヤロープの素線切れの見られた天井クレーンについて,ワイヤロープの交換作業を行うこととしていた.この天井クレーンはつり上げ荷重2.8tのダブルレール型ホイスト式のもので,スパンが17m,床からガーダ上部までの高さは5.7mで,ワイヤロープ交換には保全部門の作業員A,Bの2名が当たる予定になっており,同日はこのクレーンに隣接する2台の天井クレーンについても保全部門で点検・調整作業を行う計画であった.
AとBは天井クレーンを工場建屋中央部,ランウェイ下に設けられた点検台の位置に移動させ,Aが点検台に上がり,Bは床上で交換作業を始めた.古いフイヤロープの取り外しが終了したところで,保全部門からAに対して連絡があり,別の建屋に設置されているクレーンの修理を至急行うようにとの指示であった.
このとき,被災者CはAがワイヤロープ交換を行っていたクレーンに隣合ったクレーン上で点検を行っていたが,AはCに対し,Bとともにワイヤロープ交換作業を行うよう依頼した.
被災者Cは間もなく点検作業を終り,Aから依頼されたクレーンのワイヤロープ交換に移った.Cはクレーンガーダ上に上がり,Bに新しいワイヤロープを持って上がるよう指示し,これを受け取ってホイストドラムに取り付ける作業を行っていたとき,このクレーン上部に張られたトロリ線に後頭部が触れ感電した.
このクレーンのホイストの電源は切ってあったが,上部のトロリ線は活線状態であった.被災者は保護帽を着用していたが,保護帽におおわれていない部分が接触したものである.
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