通達
じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について
一般社団法人日本クレーン協会会長殿 基発0828第2号
厚生労働省労働基準局長 令和2年8月28日
じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について
 
 日頃から労働安全衛生行政の推進に御理解・御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 今般、じん肺法(昭和35年法律第30号)、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和42年法律第92号)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づき、各種健康診断やストレスチェックを実施した場合に、作成・保存することとしている健康診断結果の個人票及び労働基準監督署長に提出することとしている健康診断結果等の報告書について、その電子化や電子申請の促進の観点から、これらの様式中、医師、歯科医師又は産業医の押印、署名及び電子署名を不要とするため、じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則(昭和42年労働省令第28号)、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令37号)、四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)、高気圧作業安全衛生規則(昭和47年労働省令第40号)、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)及び東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(平成23年厚生労働省令第152号)について、所要の改正を行うこととしました。
 これらにつきましては、令和2年8月28日から施行することとしており、別添のとおり都道府県労働局長宛て指示しております。
 つきましては、貴団体におかれましでも、改正の趣旨を御理解いただき、傘下会員等に対して、改正の内容等の周知に御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 
じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について
 
〈別添〉     
基発0828第1号
令和2年8月28日
都道府県労働局長殿
厚生労働省労働基準局長
 
じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について
 
 じん肺法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第154号。以下「改正省令」という。)が令和2年8月28日に公布され、同日から施行されるところであるが、その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、その運用に遺漏なきを期されたい。
 併せて、本通達記載の内容については、別添のとおり、関係事業者等団体の長宛て傘下会員への周知等を依頼したので了知されたい。
1 改正の趣旨
 じん肺法(昭和35年法律第30号)、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和42年法律第92号。以下「CO中毒法」という。)及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)において、事業者は、労働者に対して健康診断やストレスチェック(以下「健康診断等」という。)を実施することとされており、健康診断の結果について、各種省令(※1)(以下「じん肺法施行規則等」という。)で定める様式により健康診断結果の個人票(以下「健康診断個人票等」という。)を作成及び保存することとされている。これらの様式には、事業者が医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)による健康診断の実施やその結果に基づく医師等からの意見聴取を実施したことが分かるよう、医師等が押印又は署名することとされており、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)に基づき、電磁的記録により保存する場合は医師等の押印又は署名に代わり電子署名を行うこととされている。
 これらの健康診断個人票等について、事業者が電磁的記録による保存をする場合に、医師等の電子署名の取得ができなければ、書面に出力して医師の押印を取得した上で再度電磁的記録にしなければならない等の負担が生じるため、事業場における当該情報の電子化が進まないという意見を踏まえ、医師等による押印、署名及び電子署名(以下「押印等」という。)を不要とすることとした。
 なお、これまで押印等をもって確認することとしていた医師等からの意見聴取等の実施状況については、労働基準監督署による監督指導等で確認することとされたい。
 また、事業者は、健康診断等の実施後等に、じん肺法施行規則等(CO中毒則は除く(※2)。)で定める様式により健康診断結果等の報告書(以下「定期健康診断結果報告書等」という。)を、所轄労働基準監督署長等へ提出することとされている。事業者が産業医に健康診断等に係る情報を提供したことが分かるよう、当該様式には産業医が押印することとされており、電子申請をする場合には、産業医の押印に代わり電子署名が必要とされている。
 これらの定期健康診断結果報告書等については、行政手続における押印等の見直しやオンライン利用率の向上が求められている中、産業医の電子署名の取得が負担となって事業者による電子申請が進まないという意見を踏まえ、産業医による押印等を不要とすることとした。
 なお、これまで押印等をもって確認することとしていた事業者による産業医に対する健康診断等に係る情報の提供の状況(※1)各種省令とは、以下の省令を指す。については、労働基準監督署による監督指導等で確認することとされたい。
 
(※1)各種省令とは、以下の省令を指す。
じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号。以下「じん肺則」という。)
  炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則(昭和42年労働省令第28号。以下「CO中毒則」という。)
  労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)
  有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)
  鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令37号。以下「鉛則」という。)
  四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号。以下「四アルキル則」という。)
  特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)
  高気圧作業安全衛生規則(昭和47年労働省令第40号。以下「高圧則」という。)
  電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)
  石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)
  東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(平成23年厚生労働省令第152号。以下「除染則」という。)
 
(※2)CO中毒法第5条に基づく健康診断の実施後に、所轄労働基準監督署長へ提出することとされている一酸化炭素中毒症健康診断等結果報告書(CO中毒則様式第5号)については、本改正前においても産業医の押印等が必要とされていない。
 
2 改正の内容及び留意事項
  (1) 健康診断個人票等の様式の一部改正(改正省令本則関係)
     以下の様式について、医師等の押印等を不要としたこと
      じん肺健康診断結果証明書(じん肺則様式第3号)
      一酸化炭素中毒症健康診断個人票(CO中毒則様式第1号)
      一酸化炭素中毒症健康診断個人票(CO中毒則様式第2号)
      健康診断個人票(安衛則様式第5号)
      健康管理手帳による健康診断実施報告書(安衛則様式第9号)
      有機溶剤等健康診断個人票(有機則様式第3号)
      鉛健康診断個人票(鉛則様式第2号)
      四アルキル鉛健康診断個人票(四アルキル則様式第2号)
      特定化学物質健康診断個人票(特化則様式第2号)
      高気圧業務健康診断個人票(高圧則様式第1号)
      電離放射線健康診断個人票(電離則様式第1号の2)
      緊急時電離放射線健康診断個人票(電離則様式第1号の3)
      石綿健康診断個人票(石綿即様式第2号)
      除染等電離放射線健康診断個人票(除染則様式第2号)
     医師等の押印等が不要となったことは、事業者が医師等による健康診断やその結果に基づく医師等からの意見聴取を実施する義務がなくなったことを意味するものではなく、引き続き、じん肺法第8条第1項、安衛法第66条第1項等に基づき、事業者は医師等による健康診断やその結果に基づく医師等からの意見聴取等を実施しなければならないこと。
  (2) 定期健康診断結果報告書等の様式の一部改正(改正省令本則関係)
     以下の様式について、産業医の押印等を不要としたこと。
      じん肺健康管理実施状況報告(じん肺則様式第8号)
      定期健康診断結果報告書(安衛則様式第6号)
      心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(安衛則様式第6号の2)
      有機溶剤等健康診断結果報告書(有機則様式第3号の2)
      鉛健康診断結果報告書(鉛則様式第3号)
      四アルキル鉛健康診断結果報告書(四アルキル則様式第3号)
      特定化学物質健康診断結果報告書(特化則様式第3号)
      高気圧業務健康診断結果報告書(高圧則様式第2号)
      電離放射線健康診断結果報告書(電離則様式第2号)
      緊急時電離放射線健康診断結果報告書(電離則様式第2号の2)
      石綿健康診断結果報告書(石綿則様式第3号)
      除染等電離放射線健康診断結果報告書(除染則様式第3号)
     産業医の押印が不要となったことは、事業者が産業医に対して健康診断等に係る情報を提供する義務がなくなったことを意味するものではなく、引き続き、事業者は健康診断等に係る情報を法令に基づき産業医に提供する必要があること。
  (3) 施行期日(改正省令附則第1項関係)
     改正省令は、令和2年8月28日から施行することとしたこと。
  (4) 経過措置(改正省令附則第2項及び第3項関係)
     報告に関する経過措置(改正省令附則第2項関係)改正省令の施行の際現に存する、改正省令による改正前のじん肺法施行規則等(以下「旧省令」という。)の規定によりされている報告は、改正省令による改正後のじん肺法施行規則等の規定による報告とみなす。
     様式に関する経過措置(改正省令附則第3項関係)
       改正省令の施行の際現に存する、旧省令に定める様式による用紙は、合理的に必要と認められる範囲内で、当分の問、これを取り繕って使用することができることとしたこと。
 
3 関係通達の改正
  (1) 「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行に伴う黒枠帳票の取り扱いについて」(平成23年3月30日付け基安計発0330第1号)のうち別紙2「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書」産業医の欄中「」を削り、同別紙(裏面)備考11中「産業医の氏名」の欄及び」を削る。なお、この通達による改正前の同報告書の用紙については、当分の問、これを取り繕って使用することができる。
  (2) 「職場における腰痛予防対策の推進について」(平成25年6月18日付け基発0618第1号)別添「職場における腰痛予防対策指針」のうち参考1「腰痛健康診断問診票(例)」所見の欄中「」を削り、参考2「腰痛健康診断個人票(例)」総合所見の欄中「」を削る。
  (3) 「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン等の改正について」(平成30年1月30日付け基発0130第2号)のうち別添1「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」の様式3「除染等電離放射線健康診断個人票」中「印」を削り、別添3「事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」の様式3「電離放射線健康診断個人票」中「印」を削る。

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