通 達
移動式クレーンの構造部分に使用する鋼材について
都道府県労働局  労働基準部安全主務課長殿 基安安発第0806002号
厚生労働省労働基準局  安全衛生部安全課長 平成19年8月6日

移動式クレーンの構造部分に使用する鋼材について

 標記について,兵庫労働局労働基準部安全課長からの別紙甲の照会に対し,別紙乙のとおり回答したので了知されたい。
別紙甲
事務連絡
平成19年6月21日
厚生労働省労働基準局
安全衛生部安全課長殿
兵庫労働局
労働基準部安全課長
移動式クレーンの構造部分に使用する鋼材について

  標記について,当局管内の事業場からホイールクレーンのジブ部分に使用する次の鋼材が移動式クレーン構造規格(以下「構造規格」という。)第1条第1項に掲げる日本工業規格に適合した鋼材と同等以上の化学成分及び機械的性質を有する鋼材と認められるか照会がありました。
  つきましては,下記により取り扱ってよろしいか,お伺いします。
  尚,本件鋼材につきましては板厚4.5mm を条件として平成17年12月6日付け基安安発第1206001号により認められたものであることを申し添えます。
使用する鋼材の種類
80キロ級高張力鋼板KBHF780B
使用する鋼材の化学成分及び機械的性質
別添のとおり
本件KBHF780B は構造規格第1条第1項に規定する日本工業規格G3128(溶接構造用高降伏点鋼板)のSHY685と同等以上の化学成分及び機械的性質を有する鋼材であること。
本件鋼材の材料及び許容応力の値に関する構造規格の取扱いを次のとおりとすること。
(1) 本材料の使用について
構造規格第1条第1項の「同等以上の機械的性質を有する鋼材」に該当するものとし,SHY685相当品として取り扱う。
(2) 許容応力について
各種許容応力は,当該鋼材の降伏点又は耐力,引張強さの値から構造規格第3条第1項及び第2項の規定により算出した値とする。
(3) 座屈係数について
座屈係数は,構造規格別表又は同規格第3条第2項の「厚生労働省労働基準局長が認めた計算方法」により算出した値とする。
(4) 溶接部の許容応力について
 鋼材の種類」をA として,構造規格第4条第1項により計算する。
別添
NO 項目 SHY685
KBHF780B
降伏点又は耐力  (N/mm2) 685以上
(厚さ50mm 以下)
685以上

引張強さ  (N/mm2)
780〜930
(厚さ50mm 以下)
780以上
伸び 厚さ(mm)
6以上16以下 3.2以上6以下
試験片 JIS 5号 JIS 5号
方向 圧延方向に直角 圧延方向に直角
16以上 15以上
曲げ性 曲げ角度 180° 180°
内側半径 厚さの1.5倍
(厚さ32mm 以下)
厚さの1.5倍
試験片 JIS 1号 JIS 3号
方向 圧延方向に直角 圧延方向に直角
     
シャルピー 吸収エネルギー(J) 試験温度 −20℃ −20℃
10×10 平均値 47以上
個々の値 27以上
試験片
10×7.5
平均値 35以上
個々の値 22以上
試験片
10×5
平均値 24以上
個々の値 14以上
試験片
10×2.5
平均値 12以上
個々の値 7以上


化学成分
(%)
C 0.18以下 0.15以下
Si 0.55以下 0.55以下
Mn 1.50以下 1.60以下
P 0.030以下 0.025以下
S 0.025以下
0.010以下
Cu 0.50以下
Ni
Cr 1.20以下
Mo 0.60以下
V 0.10以下
B 0.005以下
必要に応じ合金元素を添加
炭素当量
0.60以下
(厚さ50mm 以下)
0.44以下
 
別紙乙
基安安発第0806001号
平成19年8 月6 日
兵庫労働局
労働基準部安全課長殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部安全課長
移動式クレーンの構造部分に使用する鋼材について
  平成19年6月21日付け事務連絡をもって照会のあった標記については,貴見のとおり取り扱うこととして差し支えない。

 

(掲載:『クレーン』第45巻 10号 2007年)

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