通 達
国土交通省「平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について」の送付について
一般社団法人日本クレーン協会専務理事殿
事務連絡
厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課 建設安全対策室長 平成25年4月10日
国土交通省「平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について」の送付について
 
 標記について,別添のとおり,国土交通省大臣官房技術調査課長より,平成25年3月29日付け国官技第334号の3「平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について」をもって本職あて送付されたので,参考までに送付します。
 
平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について
 
国官技第334号の3
平成25年3月29日
厚生労働省労働基準局安全衛生部建設安全対策室長殿
国土交通省大臣官房技術調査課長
 
平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について
 標記につきまして,別添のとおり,各地方整備局等に通知したので参考までに送付します。
 
平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について
 
国官技第334号
平成25年3月29日
各地方整備局企画部長あて
北海道開発局事業振興部長あて
国土交通省大臣官房技術調査課長
 
平成25年度における建設工事事故防止のための重点対策の実施について
 
 建設工事の事故防止にあたって,国土交通省においては近年の事故の状況等を勘案し,年度ごとに重点対策を実施してきたところである。今般,平成25年度における重点対策として国土交通省の直轄土木工事を対象に下記の「T発注者が実施する対策」を実施することとしたので適切に措置されたい。
 なお,「U関係業団体が実施する対策」については,工事全般にわたる事故防止の観点から別途関係業団体に協力を依頼しているものである。
 
 
I 発注者が実施する対策
1 交通事故防止重点対策
 ・ これまでに収集した事故事例,分析結果及び事故防止対策の好事例を周知し,各現場条件に適した事故防止対策を適切に実施できるように安全協議会等において働きかける。
2 重機事故防止重点対策
 ・ 重機と作業員の接触事故防止対策として,重機の接近を知らせる警報装置を活用する等各現場条件に適した事故防止対策を適切に実施できるよう安全協議会等において働きかける。
3 足場からの墜落事故防止重点対策
 ・ 足場(足場の機能を有する支保工を含む。以下同じ。)の施工にあたり,「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱(厚生労働省平成24年2月)(以下「要綱」と言う。)」及び「手すり先行工法等に関するガイドライン(厚生労働省平成21年4月)」によるものとし,足場の組立,解体,変更の作業時及び使用時には,常時,全ての作業床において二段手すり及び幅木の機能を有するものを設置すること,足場の安全確認に関する看板を設置すること,及び必要な点検を行うことを安全協議会等において働きかけるとともに,必要に応じその点検結果の確認等を行う。
 ・ 足場の組立完了時等の点検においては,要綱に示された足場等の種類別点検チェックリストの例を活用し,当該足場の組立て作業を行った者以外の十分な知識と経験を有する者により点検を行うことを安全協議会等に働きかける。十分な知識と経験を有する者とは,「足場等の安全点検の確実な実施について(厚生労働省平成24年4月)」に示された以下の者が含まれることに留意されたい。
   足場の組立て等作業主任者であって,労働安全衛生法(以下「法」という。)第19条の2に基づく足場の組立て等作業主任者能力向上教育を受けた者
   法第81条に規定する労働安全コンサルタント(試験の区分が土木又は建築である者)や厚生労働大臣の登録を受けた者が行う研修を修了した者等法第88条に基づく足場の設置等の届出に係る「計画作成参画者」に必要な資格を有する者
   全国仮設安全事業協同組合が行う「仮設安全監理者資格取得講習」,建設業労働災害防止協会が行う「施工管理者等のための足場点検実務研修」を受けた者等足場の点検に必要な専門的知識の習得のために行う教育,研修又は講習を修了するなど,足場の安全点検について,上記1又は2に掲げる者と同等の知識・経験を有する者
4 法面からの墜落事故防止重点対策
 ・ 大規模または特殊法面工事においては,必要に応じてJISA8972(斜面・法面工事用仮設設備)による昇降設備,構台等の設置を推進し,適切に必要な費用を計上する。
5 飛来落下事故防止重点対策
 ・ チェックリスト等による玉掛け方法,玉掛け用具の点検を図るように安全協議会等において働きかける。
 ・ 除草工事など,施工個所外に小石や部材が飛散する恐れのある作業を行う際には,養生を行うなどの適切な飛散防止措置を行うよう働きかける。
6 工事事故防止に係る広報活動の推進
 ・ 工事現場で請負者が行う工事事故防止の取り組み(事故ゼロ宣言等)について,看板の設置などにより,現場作業員や周辺住民に周知することを安全協議会等において働きかける。
7 安全活動の評価
 ・ 直轄工事において,請負者から提出された安全活動の創意工夫の成果を,工事成績評定の判断材料の1つとする(各種チェックリストの活用や看板設置等)。
 
II 関係業団体が実施する対策
 
1 交通事故防止重点対策
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,現場の状況を十分勘案し,運転者の注意を喚起する効果的な方法(回転灯や電光表示板等)と車輌の制動抑止を図る方法を組み合わせる等により,有効な交通事故対策を実施するよう働きかける。
2 重機事故防止重点対策
(1) ステッカー運動の推進
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して「誘導なしではバックしない」をうたったステッカーを貼付し,安全教育と効果的に組み合わせ,重機オペレーターの安全意識を高めることを推奨する。
(2) 重機との接触事故の防止対策の推進
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,現場の状況を十分に勘案し,重機の接近を知らせる警報装置を有効に活用する等により,重機と作業員との接触事故防止対策を実施するよう働きかける。
3 足場からの墜落事故防止重点対策
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,足場の施工にあたり,「足場からの墜落・転落災害総合対策推進要綱(厚生労働省平成24年2月)(以下「要綱」と言う。)」及び「手すり先行工法等に関するガイドライン(厚生労働省平成21年4月)」によるものとし,足場の組立,解体,変更の作業時及び使用時には,常時,全ての作業床において二段手すり及び幅木の機能を有するものを設置し,足場の安全確認に関する看板を設置するよう働きかける。
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して足場の施工計画の充実を図るよう働きかけるとともに,足場の組立完了時等の点検においては,要綱に示された足場等の種類別点検チェックリスト等を現場に備え付けて効果的に活用し,当該足場の組立て作業を行った者以外の十分な知識と経験を有する者により足場の点検を行い,その点検記録を保存するよう働きかける。十分な知識と経験を有する者とは,「足場等の安全点検の確実な実施について(厚生労働省平成24年4月)」に示された以下の者が含まれることに留意されたい。
   足場の組立て等作業主任者であって,労働安全衛生法(以下「法」という。)第19条の2に基づく足場の組立て等作業主任者能力向上教育を受けた者
   法第81条に規定する労働安全コンサルタント(試験の区分が土木又は建築である者)や厚生労働大臣の登録を受けた者が行う研修を修了した者等法第88条に基づく足場の設置等の届出に係る「計画作成参画者」に必要な資格を有する者
   全国仮設安全事業協同組合が行う「仮設安全監理者資格取得講習」,建設業労働災害防止協会が行う「施工管理者等のための足場点検実務研修」を受けた者等足場の点検に必要な専門的知識の習得のために行う教育,研修又は講習を修了するなど,足場の安全点検について,上記1又は2に掲げる者と同等の知識・経験を有する者
4 法面からの墜落事故防止重点対策
(1) 昇降設備の設置の推進
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して親綱の固定箇所・安全帯付け替え箇所への安全な移動のため,大規模及び特殊法面工事においては,必要に応じてJISA8972(斜面・法面工事用仮設設備)による昇降設備,構台等を設置し,施工することを推奨する。
(2) 法面工事における適切な作業計画の作成と周知
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,法面工事の施工にあたり,十分な知識と経験を有する者により作業計画を作成するとともに,作業計画の内容の周知を徹底するよう働きかける。
(3) 法面工事用仮設設備に関する安全対策
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,法面工事用の仮設設備を設置する場合にはJISA8972(斜面・法面工事用仮設設備)が制定されたことが周知されるよう働きかける。
5 飛来落下事故防止重点対策
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,チェックリスト等による玉掛け方法,玉掛け用具の点検を図るよう働きかける。
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,除草工事など,施工箇所外に小石や部材が飛散する恐れのある作業を行う際には,養生を行うなどの適切な飛散防止措置を行うよう働きかける。
6 各種事故共通重点対策
(1) 現場管理者,技能者,建設従事者等を対象とした安全教育の推進
ア 建設従事者に対する安全衛生教育の実施
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して労働者の不安全行動の防止の観点から労働者が守らなければならない事項等を周知徹底するため厚生労働省が推奨している建設業労働災害防止協会が定める指針に基づく建設従事者に対する安全衛生教育を受けるよう働きかける。なお,直轄工事においては,例えば,外部機関(建設業労働災害防止協会等)を活用した当該教育を実施するよう働きかける。
イ 技能者等に対する再教育の推進
 ・ 関係業団体は,就業制限業務及び作業主任者を選任する業務における資格者の配置のみならず,資格取得後一定期間経過した資格者については,次に掲げる再教育を受けるよう働きかける。
@ 労働安全衛生法第19条の2に基づく足場の組立て等作業主任者等に対する能力向上教育
A 労働安全衛生法第60条の2に基づく車両系建設機械運転業務従事者,移動式クレーン運転士,玉掛業務従事者等に対する危険有害業務従事者教育
B 厚生労働省通達に基づくドラグ・ショベル運転業務従事者等に対する危険再認識教育
ウ 現場管理者等に対する教育の推進
 ・ 関係業団体は,職長又は安全衛生責任者については,労働安全衛生法第60条等に基づく職長・安全衛生責任者教育を受けるよう働きかける。
(2) 建設業労働安全衛生マネジメントシステム等の導入の推進
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して「建設業労働安全衛生マネジメントシステム(COHSMS:コスモス)」等を導入するよう働きかける。
(3) 表彰制度の推進
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して安全管理に努めた人を表彰する等の各社が実施している安全意識向上運動をさらに推進するよう働きかける。
(4) 工事事故防止に係る広報活動の推進
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して現場における請負者が行う工事事故防止の取り組み(事故ゼロ宣言等)に関する看板等の設置を推進することにより,工事現場の事故防止の取り組みについて現場作業員や周辺住民に周知するよう働きかける。
(5) 安全活動に係る創意工夫の成果の提出
 ・ 関係業団体は,会員各社に対して,工事完成時までに上記対策の実施など安全活動に係る創意工夫の成果を発注者に提出するよう働きかける。

(掲載:『クレーン』第51巻 6号 2013年)

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