行政
平成31年度地方労働行政運営方針について(抄)
厚生労働省地方課長
厚生労働省労働基準局長
厚生労働省職業安定局長
厚生労働省雇用環境・均等局長
厚生労働省人材開発統括官
地発0401第2号
基発0401第20号
職発0401第12号
均等発0401第35号
開発0401第3号
報道発表資料 平成31年4月1日
 厚生労働省は、平成31年4月1日付けで「平成31年度地方労働行政運営方針」を策定したこと及び各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえつつ、各局内の管内事情に則した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしていることを発表しました。
 本誌においては、この地方労働行政運営方針のうち、主に労働災害防止に関する部分を抜粋して次のとおり掲載します。
 なお、この地方労働行政運営方針の全文及び概要は、厚生労働省ホームページの「報道・広報の「報道発表資料」に掲載されています。
・平成31年度地方労働行政運営方針(概要)[PDF形式:195KB]
・平成31年度地方労働行政運営方針[PDF形式:867KB]
 
平成31年度地方労働行政運営方針(抄)
 
第1 労働行政を取り巻く情勢
 我が国は、アベノミクス三本の矢、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」により、企業の経常利益は過去最高となり、5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが行われている。我が国の経済情勢は、雇用・所得環境が改善し、個人消費が持ち直しの動きを示すなど、経済の好循環が進展する中で緩やかに回復している。
 しかしながら、我が国は少子高齢化・人口減少という構造的課題を抱えている。人口構造の推移を見ると、2025年以降、「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化しており、2040年を展望すると、現役世代の減少が最大の課題となっている。
 今後、少子高齢化・人口減少が進む中、我が国の活力を維持・発展させていくためには、働き手を確保するとともに、一人一人の労働生産性を高め、継続的な賃上げの流れを後押しすることにより、成長と分配の好循環を推し進めることが不可欠である。
 その実現に向けた最大のチャレンジが、働き方改革である。働き方改革は、働く方のワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など様々な事情を抱える方々がより一層意欲を持って働くことができ、働く方一人一人がより良い将来の展望を持ち得る働き方を目指すものである。長時間労働を是としてきた日本の企業文化や風土など、働き方そのものについても根本から変えていく大きな転換期にある。
 このチャレンジを成功させるために、労働行政の果たすべき役割は極めて大きい。
1  雇用をめぐる動向(略。以下同様に労働災害防止関係以外は項目のみを掲載
2  労働条件等をめぐる動向
  (1)  申告・相談等の状況
  (2)  労働時間の状況
  (3)  賃金の状況
  (4)  労働災害・労災補償の状況
 労働災害の発生状況については、平成30年は、平成31年3月速報値で、労働災害による死亡者数は880人と、前年同期比で4.9%減少、休業4日以上の死傷者数は124,777人と、前年同期比で5.7%増加している。特に、労働者数が増加傾向にある小売業、社会福祉施設といった第三次産業で転倒や腰痛などによる死傷が増加している。また、高年齢労働者の数や割合が増加しているほか、今後、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)の改正に伴う外国人労働者の増加が見込まれ、就業構造の変化等が進展している。
 労働者の健康をめぐる状況については、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)に基づく一般健康診断における有所見率は5割を超え、年々増加を続けている。
 また、過重労働等によって労働者の尊い命や健康が損なわれ、深刻な社会問題となっており、脳・心臓疾患、精神障害の労災認定件数は、ここ数年は700件台で推移しており、そのうち死亡又は自殺(未遂を含む。)の件数は200件前後となっている。
 仕事や職業生活に関する強い不安、悩み又はストレスを感じる労働者は、依然として半数を超えている(「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」)。このような状況の中、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は58.4%にとどまっており、ストレスチェック制度の運用についても、集団分析結果を職場環境の改善に活用している事業場の割合は51.7%にとどまっている。また、労働者の約3割が、職場において仕事上の不安、悩み又はストレスを相談できる相手がいないと感じている(「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」一部特別集計)。
 労働力の高齢化が進む中で、職場において、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となる場面はさらに増えることが予想される。一方で、職場での対応は個々の労働者の状況に応じて進めなければならず、支援の方法や医療機関等との連携について悩む事業場の担当者も少なくない。
 化学物質に起因する労働災害は、年間500件程度で推移しており、危険物によるものが約4割、有害物によるものが約6割となっている。また、法定の化学物質を取り扱う事業場におけるリスクアセスメントの実施率は52.8%、ラベル表示及びSDS交付の実施率はそれぞれ77.3%、69.1%にとどまっている(「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」)。また、化学物質によるがん等の遅発性疾病に関しては、オルトト―ルイジンやMOCAの取扱事業場における膀胱がんの集団発生事案など従前は把握されていなかった重篤な健康障害が発生している。石綿関連疾患の労災請求件数(確定値)は1,085件(前年度比2.2%減)と引き続き高水準で推移している。また、「石綿による健康被害の救済に関する法律」(平成18年法律第4号)に基づく特別遺族給付金の請求件数(確定値)は、48件(前年度比33.3%増)と増加している。
 さらに、石綿使用建築物の解体工事が2030年頃をピークとして、増加が見込まれる中、解体前に義務づけられている石綿の有無に関する事前調査や石綿の発散防止措置が適切に行われていない事例が散見されている。
 安衛法の一部改正により、平成27年6月から職場における受動喫煙対策が努力義務とされた。また、平成30年7月に望まない受動喫煙を防止するための改正健康増進法が成立した(2020年4月完全施行予定)。このような状況の中、職場において受動喫煙を受けていると回答した労働者の割合は37.3%となっている(「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」)。
 東京電力福島第一原子力発電所(以下「東電福島第一原発」という。)については、「東京電力兜沒第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」が平成23年12月に決定され、平成29年9月に第4回改定が行われ、廃止措置等に向けた取組を進めている。東電福島第一原発においては、放射線業務を含む各種工事が行われているが1日当たりの労働者数は依然として多く、原発事故に伴う高い放射線環境下において、多数の元方事業者及び関係請負人が混在して同一敷地内で作業している状況であり、今後、燃料取り出しに向けて建屋付近の高線量下における作業が進められる。
 
第2 平成31年度地方労働行政の重点施策
1  総合労働行政機関としての施策の推進
2  働き方改革による労働環境の整備、生産性向上の推進等
  (1)  働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者等に対する支援等
  (2)  長時間労働の是正を始めとする労働者が健康で安全に働くことができる職場環境の整備等
     第13次労働災害防止計画の2年目における取組
    【課題】
      (ア)  労働者が安全に働くことができる環境整備
         第13次労働災害防止計画の2年目となる平成31年度は、目標達成(2017年と比較して、2022年までに、死亡災害を15%以上減少、死傷災害を5%以上減少)に向けて、建設業、製造業、林業、小売業、社会福祉施設、飲食店及び陸上貨物運送事業を中心とした取組を推進するとともに、転倒災害、腰痛、熱中症、交通労働災害、外国人労働者、非正規雇用労働者などの対策に取り組む必要がある。
      (イ)  健康確保対策、過労死等防止対策
         長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないようにするため、産業医・産業保健機能の強化、医師による面接指導の対象となる労働者の要件の拡大等が図られたところであり、改正安衛法の内容について、あらゆる機会を通じて周知、指導を図る必要がある。また、ストレスチェックの集団分析結果を活用した職場環境改善の普及を図るなど事業場におけるメンタルヘルス対策の取組を促進する必要がある。引き続き、平成28年12月にとりまとめられた「『過労死等ゼロ』緊急対策」に沿って、事業場、企業本社に対するメンタルヘルス対策に係る指導を確実に実施する必要がある。
      (ウ)  化学物質による労働災害防止対策の推進
         化学物質対策については、がんの集団発生等の事案も踏まえ、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)等の重大な健康障害を防止するための法令遵守の徹底を図る必要がある。また、第13次労働災害防止計画の目標達成に向けて、ラベル表示、安全データシート(SDS)の交付・入手の徹底、リスクアセスメントの実施に引き続き取り組む必要がある。また、今後石綿使用建築物の解体工事の増加が見込まれている中で石綿のばく露防止措置が適切に実施されていない事例が散見されることから、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)に基づく措置を徹底するとともに石綿ばく露防止対策をさらに強化する必要がある。
    【今後の取組】
      (ア)  死亡災害の撲滅を目指した対策の推進
        a  建設業における墜落・転落災害等の防止
           建設業の死亡災害の約4割を占める墜落・転落災害を防止するため、引き続き労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)に基づく措置の遵守徹底を図る。また、平成31年2月から施行された高所作業時におけるハーネス型の墜落制止用器具を原則化することを内容とする改正安衛則等の周知徹底を図るとともに、新設される既存不適合機械等更新支援補助金事業(仮称)も活用し、その円滑な施行を図る。さらに、「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合」の検討結果を踏まえて、平成31年度中に必要な対策の見直しを行う予定であるので、その円滑な実施のため周知を図る。
           2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた関連工事の実施に伴う建設需要の増加により、労働災害の増加が懸念されることから、事業者に対して労働災害防止対策が徹底されるよう指導を行う。
 また、東日本大震災、熊本地震の復旧・復興工事、台風や豪雨などによる大規模な自然災害に係る災害の復旧工事については、復興計画等を作成する地方公共団体と連携の上、屋根等からの墜落・転落災害の防止、重機災害の防止、工事の輻輳による労働災害の防止を図るなど、労働災害防止対策を適切に推進する。
        b  製造業における施設、設備、機械等に起因する災害等の防止
           製造業の死亡災害の約3割を占める「はさまれ・巻き込まれ」災害等の労働災害を防止するため、災害を発生させた機械を使用する事業者に対して当該災害に係る再発防止対策の指導を行う。
           また、製造業における機械による死亡災害の約4分の1を占めるクレーンや移動式クレーンに係る災害を防止するため、クレーンや移動式クレーン等を設置する事業者等に対する指導を行うほか、新設される既存不適合機械等更新支援補助金事業(仮称)も活用し、平成30年3月から施行された改正移動式クレーン構造規格の周知徹底を図るとともに、円滑な施行を図る。
           製造業のうち大規模な設備を有する業種における高経年設備の劣化に関する調査結果等をまとめたリーフレット等を活用し、高経年設備の点検等必要な対策について、関係事業者に周知を図る。厚生労働省、経済産業省、中央労働災害防止協会及び製造業の主要業界団体によって設置された「製造業安全対策官民協議会」において得られたリスクアセスメントの共通手法等の成果を活用し、各業界団体や事業場の自主的な取組を促進する。
        c  林業における伐木等作業の安全対策
           林業においては、依然として、伐木作業中等に死亡災害が発生していることから、2019年8月から施行される伐木等作業の安全対策に係る改正安衛則等について、事業場の安全担当者等を対象とした講習会、林業・木材製造業労働災害防止協会が行う経営トップ等を対象にした講習会等により、林業を始めとする伐木作業の関係者に周知を徹底し、その円滑な施行を図る。
      (イ)  過労死等の防止対策等の労働者の健康確保対策等の推進
        a  労働者の健康確保対策等の強化
          @  経営トップへの啓発、職場の環境整備の促進
             過重労働・メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援など労働者の心身の健康確保対策についての企業の積極的な取組の促進を図るため、あらゆる機会を捉え、経営トップに対して啓発を行う。
          A  産業医・産業保健機能の強化
             改正安衛法の内容等について、全国安全週間や全国労働衛生週間の準備月間に実施する集団指導をはじめ、あらゆる機会を捉え、パンフレット等を活用することにより、周知を図る。
          B  産業医の選任の徹底
             労働者数50人以上の事業場で産業医が未選任の事業場に対して、集団指導や個別指導等を計画的に行うとともに、労働者数50人未満の事業場に対して、労働者の健康管理等を行う医師や保健師の選任に努めるよう指導等を行う。
             さらに、小規模事業場における健康管理対策の推進に当たっては、産業保健総合支援センター(以下「産保センター」という。)及びその地域窓口における各種支援事業の活用が有効であるので、周知・利用勧奨を行う。
          C  働き方の多様化に対応した安全衛生の推進
             非正規雇用労働者など雇用形態や就業形態の違いにかかわらず、安全衛生教育や健康診断等について適正に実施されるよう、必要に応じて指導を行う。
        b  過重労働による健康障害の防止
           改正安衛法の内容を踏まえ、同法第66条の8の3に基づく労働時間の状況の把握については管理監督者や裁量労働制の適用者を含めた全ての労働者が対象となることや労働者への通知が必要となること、同法第66条の8に基づく面接指導の対象要件について時間外・休日労働時間が1月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超えた者から80時間を超えた者に拡大されたこと、同法第66条の8の2及び第66条の8の4に基づく面接指導については労働者からの申し出が不要とされていることなどについて、重点的に周知、指導を行う。
          (再掲)
        c  健康診断等の実施の徹底
           毎年9月の「職場の健康診断実施強化月間」において、重点的な周知・指導を行うなど健康診断及び事後措置等の実施の徹底を図る。
        d  職場におけるメンタルヘルス対策等の推進
          @  事業場におけるメンタルヘルス対策の取組の促進
             事業場におけるメンタルヘルス対策の取組の促進については、第13次労働災害防止計画の目標及び管内の実情を踏まえつつ、労働者の心の健康の保持増進のための指針(平成18年3月31日健康保持増進のための指針公示第3号。平成27年11月30日一部改正)の周知・指導を計画的に行う。周知・指導に当たっては、産保センターと連携して効率的に行う。
          A  ストレスチェック制度の適切な実施の促進
             ストレスチェックの実施の徹底を図るため、引き続き、署への実施報告書の提出状況等から管内の実情を把握しつつ、労働者数50人以上の事業場に対して重点的な指導等を行う。また、ストレスチェック結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組についても、好事例の周知や助成金制度の利用勧奨を行い、その適切な実施を促進する。
          B  「『過労死等ゼロ』緊急対策」を踏まえたメンタルヘルス対策の推進
             「『過労死等ゼロ』緊急対策」を踏まえ、精神障害に関する労災支給決定が行われた事業場及び企業本社に対するメンタルヘルス対策に係る指導着実に実施する。
             また、監督指導等において、違法な長時間労働や過労死等が認められた場合には、産保センターのメンタルヘルス対策の専門家による訪問指導の受入れについて、強く勧奨を行う。さらに、メンタルヘルス対策に係る個別指導や集団指導等を実施する際には、パワーハラスメント対策導入マニュアル等を活用し、パワーハラスメント対策の取組について指導を行う。
      (ウ)  就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進
        a  災害の増加や減少がみられない業種等への対応
          @  第三次産業対策
             労働災害が増加傾向にある第三次産業については、労働災害発生件数が多い小売業、社会福祉施設及び飲食店の労働災害防止対策に重点的に取り組む。小売業、社会福祉施設及び飲食店のうち、多店舗展開で分散している業態の事業場については、個々の店舗や施設において安全衛生に取り組む人員、権限及び予算が限定的であることから、働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動の展開等により、@経営トップによる安全衛生方針の表明、A安全推進者の配置、B事業場で行う安全衛生活動の支援など、企業本社が主導する全社的な取組の促進を図る。これらの取組促進に当たっては経営トップの関与が重要であることから、経営トップの意識啓発等を図るためのセミナーを開催する。
          A  陸上貨物運送事業対策
             陸上貨物運送事業における荷役作業中の死亡災害の約8割を占める5大災害、@墜落・転落、A荷崩れ、Bフォークリフト使用時の事故、C無人暴走、Dトラック後退時の事故)を防止するため、関係団体等とも連携を図り、保護帽の着用等、各災害に応じた「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成25年3月25日付け基発0325第1号。以下「荷役ガイドライン」という。)の中の重点実施事項について陸上貨物運送事業者に対し、周知・指導を行う。また、陸上貨物運送事業において導入が進んでいるロールボックスパレットやテールゲートリフターに起因する災害、宅配事業者の路上災害、腰痛等について防止対策の周知・指導を図る。
             また、荷主等に対しても、荷役ガイドラインに基づく荷主等としての取組の必要性について理解を促し、取組の更なる促進を図る。
          B  転倒災害防止対策
             死傷災害の中で最も件数が多い転倒災害を防止するため、引き続き、平成27年から実施している「STOP!転倒災害プロジェクト」を厚生労働省ホームページ上の特設サイトや労働災害防止団体等と連携した周知・広報等により、効果的に展開する。
          C  腰痛の予防
             職業性疾病の6割超を占める腰痛を予防するため、腰痛による死傷災害の件数が多い医療保健業、社会福祉施設、陸上貨物運送事業の事業場トップや労働衛生管理の担当者を対象とした腰痛予防に関する研修会を開催する等により、「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日付け基発0618第1号)に基づく腰痛予防に係る安全衛生教育の確実な実施を推進するとともに、労働者の身体的負担軽減に効果的とされる福祉用具や機械等の導入促進を図る。
          D  熱中症の予防
             毎年死傷災害が400〜500件発生している熱中症を予防するため、5月から9月まで「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を実施する。また、建設業、警備業等の事業者や労働者を対象とする講習会を開催する等により、JIS規格に適合したWBGT値(暑さ指数)測定器の周知を図るとともに、夏季の屋外作業や高温多湿な屋内作業場については、WBGT値の測定とその結果に基づき、作業の一時中止、休憩の確保、水分・塩分の補給、クールベストの着用等の必要な措置が取られるよう周知・指導を行う。
          E  振動障害の防止
             振動工具の振動レベルに応じて作業時間等の管理を行う手法(日振動ばく露量A(8)に基づく管理)や特殊健診の受診等、振動障害を予防するための措置について、徹底が図られていないことから、振動障害を防止するため、林業等を対象とした集団指導等の機会を捉えて取組の促進を図る。
          F  事務所や作業場における清潔保持等
             安衛則や事務所衛生基準規則に定める、事務所や作業場における便所や休養室等の設置、清潔保持等に係る事項について、小規模事業場において実施の徹底が図られていないことから、集団指導等の機会を捉えて取組の促進を図る。
          G  交通労働災害防止対策
             交通事故による死亡災害を減少させるため、「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成30年6月1日改正)に基づく指導を行うとともに、特に死亡災害の多い陸上貨物運送事業、新聞販売業、警備業、郵便事業等については、関係業界団体、関係行政機関等と連携を図り、業界全体での取組の促進を図る。
        b  非正規雇用労働者、外国人労働者等の労働災害の防止
          @  非正規雇用労働者に対する労働災害防止対策
             就業形態の多様化等により、雇用者に占める非正規雇用労働者の割合が拡大しているが、非正規雇用労働者は、正規雇用労働者に比べて安全衛生教育等の実施率が低い傾向にあることから、派遣労働者を始めとした非正規雇用労働者に対する雇入れ時教育を始めとする安全衛生教育の徹底と教育内容の充実や、職場における「危険の見える化」の推進等、安全衛生活動の活性化を図る。
          A  外国人労働者に対する労働災害防止対策
             外国人労働者に対する労働災害防止対策については、今後も外国人労働者が増加すると見込まれるため、引き続き安全衛生確保措置を実施するとともに、平成31年1月に改正された労働者死傷病報告の新様式による報告を周知徹底し、外国人労働者の労働災害の発生状況を把握する。
             また、改正された「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に確保の取組の周知等を行う。さらに、視聴覚教材や外国語訳された教材の活用を含め、外国人労働者に理解できる安全衛生教育を実施するよう、事業主に対して支援や周知を図る。また、事業場内における労働災害防止に関する指示や標識及び掲示等についても、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう、事業主に対して周知や支援を行う。
          B  高年齢労働者に対する労働災害防止対策
             高年齢労働者が安全・健康に働ける職場環境の整備のため、高年齢労働者に転倒や腰痛が増加傾向にあることを踏まえ、高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル(エイジアクション100)について普及を図る。
             また、65歳を超えて就労する高年齢労働者の労働災害の発生状況について更なる分析を進め、高年齢労働者に対する安全衛生上の配慮すべき事項について検討し、取りまとめるので周知を行う。
      (エ)  化学物質等による労働災害防止対策
        a  化学物質による労働災害防止対策
           危険性・有害性のある化学物質の取扱事業場に対し、計画的に監督指導や個別指導を行い、発散抑制措置、作業環境測定の実施等による作業環境の改善、健康診断の実施等による健康管理、保護具の適切な使用等、特定化学物質障害予防規則等の法令に基づく措置及び危険物に係る法令の遵守の徹底を図るとともに、規制対象外の物質についてもリスクアセスメントの実施を徹底し、リスクアセスメントの結果に基づき、有害原因の除去や有害物の発散の抑制等のリスク低減対策、危険物の適切な取扱いの徹底に取り組むよう指導する。
           その際、「ラベルでアクション」をキャッチフレーズに、ラベル表示と安全データシート(SDS)の入手・交付の徹底を図るとともに、化学物質の危険性・有害性及びリスク低減対策について労働者への周知・教育等の実施についても指導する。
           また、特定化学物質障害予防規則等やラベル表示等の対象物質の代替として、危険性又は有害性が判明していない化学物質を安易に用いないよう指導・啓発を行う。
        b  石綿健康障害予防対策
           建築物の解体作業について、石綿障害予防規則及び技術上の指針に基づく指導を行う。特に、石綿に関し一定の知見を有し、的確な判断ができる者が事前調査を行うよう指導するほか、事前調査の結果に関する掲示、石綿含有成形板の手ばらし及び隔離空間からの石綿漏えい防止措置、除去後の包装の徹底を図る。
           なお、石綿障害予防規則等の改正を検討しており、改正後は、地方公共団体とも連携し、その円滑な施行のための周知を図る。
           また、解体等の仕事の発注者に対しては、事前調査を踏まえた経費や工期の設定等の配慮、石綿等の使用状況等の通知等について周知・要請を行う。
        c  受動喫煙対策
           職場で受動喫煙を受ける労働者の減少を目的として、改正健康増進法の成立も踏まえ、保健所等とも連携を図りつつ、助成金等により事業者の受動喫煙対策を支援することで、事業者及び事業場の実情に応じた禁煙、空間分煙等の受動喫煙対策の普及及び促進を図る。
        d  電離放射線による健康障害防止対策
           平成29年の保健衛生業における電離放射線健康診断結果において、約1.8万人の有所見者数となっており、また、眼の水晶体の等価線量が20ミリシーベルトを超える労働者が医療保健業に多いことから、特に医療保健業における労働者の被ばく線量管理及び被ばく低減対策の取組を推進する。
      (オ)  企業・業界単位での安全衛生の取組の強化
        a  企業における自主的な労働災害防止対策の推進
          @  企業のマネジメントへの安全衛生の取組
             企業における自主的な労働災害防止対策を推進するために、企業の経営トップ等に対して関与を働きかけ、企業のマネジメントの中に安全衛生を位置付けることを推奨していくとともに、労働者の安全衛生に関する経営トップによる取組方針の設定・表明等、積極的な取組を支援することで、企業全体の安全意識の向上を図る。
             また、高い安全衛生水準を維持・改善している企業の取組を支援するため、安全衛生優良企業認定制度の一層の周知を図る。小売業、社会福祉施設及び飲食店のうち、多店舗展開で分散している業態の事業場については、個々の店舗や施設において安全衛生に取り組む人員、権限及び予算が限定的であることから、@経営トップによる安全衛生方針の表明、A安全推進者の配置、B事業場で行う安全衛生活動の支援など、企業本社が主導する全社的な取組の促進を図る。
            (再掲)
          A  労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進
             平成30年3月に発効した労働安全衛生マネジメントシステムに係る国際規格(ISO45001)及び同年9月に制定した労働安全衛生マネジメントシステムに係る日本工業規格(JISQ45001等)を踏まえて、労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11年労働省告示第53号)を改正することとしているので、その内容を周知することで労働安全衛生マネジメントシステムの普及を図るとともに、企業における自主的な安全衛生管理の推進を図る。
        b  ボイラー等の製造時等検査の登録機関への移行
           ボイラー又は第一種圧力容器の製造時等検査については、平成31年度に、順次、東京労働局、鳥取労働局、島根労働局、岡山労働局、香川労働局、愛媛労働局、高知労働局、佐賀労働局、長崎労働局及び熊本労働局において、局による検査を停止することから、登録製造時等検査機関への検査業務の円滑な移行が図られるよう、事業者に対する周知等を行う。
        c  検査業者、登録教習機関等への監査指導等
           検査業者、登録教習機関等に対する行政処分事案が相次いでいることから、これら機関等において適切に業務が実施されるよう、監査指導等を適切に実施する。
  (8)   治療と仕事の両立支援
     企業における健康確保対策の推進及び疾病を抱える労働者を支援する仕組みづくり
    【課題】
     疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援の普及促進については、平成29年3月に決定された実行計画に基づき、企業の意識改革や企業と医療機関の連携強化、労働者の疾病の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みの整備等に着実に取り組むことにより、疾病を抱える労働者が治療を行いながら仕事を継続することができるように、必要な就業上の措置が行われる必要がある。
    【今後の取組】
      (ア)  企業における健康確保対策の推進、企業と医療機関の連携の促進
        a  ガイドライン等の周知啓発
           治療と仕事の両立支援については、産保センターと連携して、あらゆる機会を捉え、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(平成28年2月23日付け基発0223第5号、健発0223第3号、職発0223第7号。以下「両立支援ガイドライン」という。)及び企業と医療機関の連携のためのマニュアルの周知を行う。また、治療と仕事の両立支援に取り組む事業者に対する助成金制度について、その周知、利用勧奨を行う。
        b  地域両立支援推進チームの運営
           局に設置する「地域両立支援推進チーム」の活動を通して、地域の関係者(都道府県衛生主管部局、医療機関、企業、労使団体、産保センター、労災病院等)が連携し、両立支援に係る関係施策の横断的な取組の促進を図る。
        c  企業や地域における両立支援の機運の醸成
           企業の意識改革を図るため、局署幹部が経営トップと接触する機会には、両立支援ガイドラインに基づく両立支援の取組について啓発指導を行うとともに、労働者の健康管理について役員が関与する体制整備や健康経営に基づく企業内の労働者の健康管理の推進等について働きかけを行う。また、地域におけるセミナー等の開催により企業や医療機関への両立支援の機運の醸成を図る。
      (イ)  疾病を抱える労働者を支援する仕組みづくり
        a  両立支援コーディネーターの養成
           「実行計画」に基づき2020年度までに2,000人の両立支援コーディネーターを養成するために、地域両立支援推進チーム等を通じて地域の関係者に両立支援コーディネーターの役割についての適切な理解の普及を図るとともに、産保センター等で開催する養成研修の周知・受講勧奨を図る。
        b  産保センターの活用
           産保センターにおいて、以下の治療と仕事の両立支援の取組に対する各種支援サービスの提供を行っているので、その周知、利用勧奨を行う。
          労働者、企業、医療機関等からの相談対応
          企業、医療機関に対するガイドライン及びマニュアルについての研修
          両立支援コーディネーター養成研修
          専門の相談員として「両立支援促進員」の配置
          事業場への個別訪問指導、個別事案に関する労働者・事業者間の調整支援
          医療機関(大学病院等)への出張相談窓口の設置
     がん等の疾病による長期療養が必要な労働者に対する就職支援の強化等
    【課題】
     がん等の疾病により、長期にわたる治療を受けながら就職を希望する者に対する支援が社会的課題となってきていること等も踏まえ、がん患者等に対する就職支援を推進する必要がある。
    【今後の取組】
     がん等の長期にわたる治療等が必要な疾病を持つ求職者について、全国の拠点となる所に就職支援ナビゲーターを配置し、がん診療連携拠点病院等との連携の下、出張相談個々の患者の希望や治療状況を踏まえた職業相談・職業紹介などの就職支援、事業主向けセミナーなどを積極的に実施する。また、長期療養者の更なる就職促進を図るためには、現在支援が届いていない潜在的な求職者にもアプローチする必要があることから、連携が図られていないがん診療連携拠点病院がある場合は、引き続き、可能な限り早期に訪問し、連携体制の構築について働きかけを行う。
  (6)  外国人材受入れの環境整備等
     外国人材の受入れ
     技能実習の適正な実施
    【課題】
     技能実習制度は、労働関係法令の違反や人権侵害が生じている等の指摘があり、また、制度の適正化を前提として制度の拡充を図ることも求められていた。
     こうしたことから、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年法律第89号。以下「技能実習法」という。)が新たに制定され、当該法律に基づき監理団体を許可制、技能実習計画を認定制とし、これらに関する事務を行う機構を新設する等の措置が講じられ、また、優良な監理団体等に対して実習期間の延長等が行われた。
     技能実習法に基づき、機構を始めとする関係機関と連携し、技能実習の適正な実施、技能実習生の保護に取り組む必要がある。
    【今後の取組】
     技能実習制度においては、技能実習法に基づき、機構と適切な連携を行う。また、機構は技能実習法に基づき、監理団体への実地検査を年1回程度、実習実施者への実地検査を3年に1回程度行うところ、これが拒否された場合等には、当該法律に基づき、局の職員は、機構の実地検査に同行する形で、立入検査を行う。
     また、技能実習法に基づき、監理団体は、傘下の実習実施者が、技能実習に関し労働基準法、安衛法その他の労働に関する法令に違反していると認めるときは、監理責任者をして、当該実習実施者に対し、是正のために必要な指示を行わせた上で、その旨を署、局等に通報するので、これら関係行政機関は受理する。
     さらに、実習実施者、監理団体等が技能実習法令に違反する事実がある場合に、技能実習生は主務大臣に申告することができる。当該申告は機構が行う母国語相談でも受け付けるが、本省のほか局においても申告を受理する。申告を受理した場合には「都道府県労働局における外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律に基づく報告徴収等の運用について」(平成29年11月1日付け開海発1101第4号)記の第2に基づき、適切に対処する。その他、局、機構、地方入国管理局、業所管省庁の出先機関(地方農政局、地方経産局、地方整備局、地方運輸局等)、地方公共団体等で構成され、ブロック単位で局が事務局として開催する地域協議会において、中央協議会で策定される方針を踏まえ、技能実習制度の適正化に向け、地域の課題の共有、取組方針の協議、関係機関との積極的な連携の確保・強化に取り組む。
     外国人材の適正な労働条件及び安全衛生の確保
    【課題】
     外国人労働者は、日本語や日本の労働慣行、労働災害防止の取組に関する知識が乏しいこと等から、労働条件に係る問題が生じやすく、労働災害のリスクが高い等の問題がある。改正された入管法が平成31年4月からが施行されたことを踏まえ、現在日本で就労している外国人労働者に加え、特定技能の在留資格により就労する外国人労働者についても安心して働き、その能力を十分に発揮する環境を確保する必要がある。
     また、外国人労働者数の増加に伴い、外国人労働者の労働災害も増加しており、平成27年以降は毎年2,000人を超え、平成29年には2,494人と過去最多になっており、外国人労働者に対する安全衛生教育が的確に実施されていないことが懸念される。このため、外国人労働者が健康で安全に働くことができる職場環境を整備するため、労働災害に係る情報をより詳細に収集することで、労働災害防止のための施策をさらに推進する必要がある。
    【今後の取組】
     技能実習生を含めた外国人労働者については、法定労働条件確保上の問題が認められる事案が多いことから、職業安定担当部署との連携を図りつつ、事業主等に対して労働基準関係法令を周知するとともに、労働契約締結時の労働条件の書面による明示、賃金支払の適正化等の徹底を図る。また、外国人労働者等が必要な労災請求を円滑に行えるよう、外国語版パンフレット等を活用して、周知に努める。さらに、外国人労働者相談コーナー及び外国人労働者向け相談ダイヤルの拡充を図ることにより、外国人労働者からの相談に引き続き的確に対応する。(再掲)
     技能実習生については、労働基準関係法令違反があると考えられる事業場に対して重点的に監督指導を実施し、重大又は悪質な労働基準関係法令違反事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処するとともに、出入国在留管理機関及び機構との相互通報制度を確実に運用する。
     特に、技能実習生に係る強制労働が疑われる事案及び技能実習生への暴行・脅迫・監禁、技能実習生からの違約金の徴収又は技能実習生の預金通帳・印鑑・旅券等の取上げ等が疑われ、かつ、技能実習生に係る労働基準関係法令違反が疑われる事案については、技能実習生の人権侵害が疑われることから、「人身取引取締りマニュアル」を参考にしつつ、出入国在留管理機関及び機構との合同監督・調査を実施し、労働基準関係法令違反が認められ、悪質性が認められるもの又は社会的にも看過し得ないものについては、司法処分を含め厳正に対処する。(再掲)
     特定技能の在留資格により就労する外国人労働者については、労働基準関係法令違反があると考えられる特定技能所属機関に対して的確に監督指導を実施し、重大又は悪質な労働基準関係法令違反事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処するとともに、出入国在留管理機関との相互通報制度を確実に運用する。(再掲)外国人労働者に対する労働災害防止対策については、今後も外国人労働者が増加すると見込まれるところ、引き続き安全衛生確保措置を実施するとともに、平成31年1月に改正された労働者死傷病報告の新様式による報告を周知徹底し、外国人労働者の労働災害の発生状況を把握する。
     また、改正された「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に処するための指針」(平成19年8月3日厚生労働省告示第276号)に示す安全確保の取組の周知等を行う。さらに、視聴覚教材や外国語訳された教材の活用を含め、外国人労働者に理解できる安全衛生教育を実施するよう、事業主に対して支援や周知を図る。また、事業場内における労働災害防止に関する指示や標識及び掲示等についても、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう、事業主に対して周知や支援を行う。
    (再掲)
6  東日本大震災からの復興への支援
  (1)  被災地における雇用対策
  (2)  電離放射線による健康障害防止対策等
    【課題】
      (ア)  東電福島第一原発等における放射線障害防止対策の徹底
         東日本大震災からの復旧・復興については、引き続き、東電福島第一原発の廃炉に向けた作業を始めとした、復旧・復興工事に従事する労働者の放射線障害防止対策、重機災害や墜落・転落災害防止対策を徹底する必要がある。
         特に東電福島第一原発では、構内における労働者数が依然として多く、休業災害も依然として発生しており、また、燃料取り出し等の高線量下における作業が行われることから、平成27年8月に策定した「東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン」(平成27年8月26日付け基発0826第1号)に基づく安全衛生確保措置や健康管理対策等が実施される必要がある。
      (イ)  除染等業務、特定線量下業務及び事故由来廃棄物等処分業務の従事者の放射線障害防止対策等の徹底
         福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物等を安全かつ集中的に管理・保管するための中間貯蔵施設については、施設整備や除去土壌等の輸送が進められている。平成29年度には除去土壌等の貯蔵が始まったところであり、除染等業務、特定線量下業務及び事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者に対する放射線障害防止対策を実施していく必要がある。
    【今後の取組】
      (ア)  東電福島第一原発等における放射線障害防止対策の徹底
         今後、燃料取り出しなど高線量下における作業が行われるため、東電福島第一原発における廃炉作業に従事する労働者の放射線障害を防止するとともに、法定労働条件の履行確保を図るため、東京電力、元方事業者及び関係請負人に対して、被ばく線量管理、健康管理、労働条件等に関し、必要な監督指導等を実施する。
         また、平成27年8月に策定した「東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン」に基づき、東京電力に対して、労働災害防止対策や被ばく低減対策等の強化を求めるとともに、元方事業者及び関係請負人に対して必要な指導等を行う。廃炉作業等を行う元請事業者による関係請負人を含めた健康管理をより一層強化させるとともに、廃炉等作業員の健康支援相談窓口の周知、利用促進を行う。その他の原子力施設については、東電福島第一原発における事故の教訓等を踏まえ、「原子力施設における放射線業務に係る安全衛生管理対策の強化について」(平成24年8月10日付け基発0810第1号)に基づき、放射線業務に係る安全衛生管理対策等について指導を行う。
      (イ)  除染等業務、特定線量下業務及び事故由来廃棄物等処分業務の従事者の放射線障害防止対策等の徹底除染等業務、特定線量下業務又は事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害を防止するため、「除染等業務、特定線量下業務及び事故由来廃棄物等処分業務における安全衛生対策の推進について」(平成26年10月20日付け基発1020第2号)に基づき、関係事業者に対する指導等を行う。その際、放射線障害防止対策の適切な実施についてはもとより、労働条件の明示、健康診断費用等の賃金控除、年少者に係る就業制限等の一般労働条件についても、適切に指導を行う。また、除染等事業者に対する監督指導等に当たっては、発注者である環境省や地方公共団体との連携を図る。

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