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ゲームで楽しく健康指導をしませんか?
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spacer.gif 中央労働災害防止協会 
ヘルスケア・トレーナー 福島 光彦
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▼はじめに
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    susume01_10_01.jpg朝礼のときに安全確認や健康管理のことなど話をされる方も多いと思います.でも,残念ながら健康管理のことは話をするだけではちゃんと聞いてもらえないのでは….
たまには,ゲームなどして楽しく職場の気分を盛り上げながら,健康づくりとして役立つ朝礼を試みてはいかがでしょう?職場の雰囲気づくりと健康づくりの一石二鳥!!というのは欲張りでしょうか…?
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▼押し付けの健康指導はいやだ!
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<コラム>
無くて七癖,有って四十八癖

どんなに癖の無いように見える人でも,だれでも多かれ少なかれ癖は有るものだ.
*「なくて七癖といふ諺あり」〔談・根無草−後〕「世の人々の無くて七癖,或は有りて四十八癖,異類異形を図にあらはして,癖といふ癖物語と目す」〔滑・四十八癖−初序〕「たとへにいふに違なく,癖なふて七癖」〔世話詞渡世雀−下〕

* Koji Kotowaza Proverb Dictionary,(c) Shogakukan 1986/故事ことわざの辞典 (c) 小学館1986.
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人はそれぞれに生活習慣を持っています.それは,長年生きてきた中でしっかりと身についたものです.そして,本人にはそれが心地よいことであったり,しないではいられないことであったりします.たとえ,それが本人の健康に悪い習慣だとしても….
私たち健康づくりに関わる者にとって健康に悪い習慣は何とかしてあげたいものなのです.しかし,それは本人にとっては迷惑?余計なお世話?なのでしょう.いくら言っても,何回言ってもその習慣を変えてはくれません.
健康情報が溢れている現代社会において,十分承知のことを他人に言われると,抵抗を感じて受け入れられないという人は多いと思います.
中には,健康に悪い生活習慣に気づいていない人もいますが….気づいていない人(無関心な人)の場合は伝えたいことが少しでも記憶に残るように感情にアピールする単純明快なアプローチが必要です.そういうことからもゲームによるアプローチは有効と考えられます.

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▼生活習慣に気づく二とが行動変容のスタート
 
  □無意識に行動する日常生活だから…
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susume01_10_03.jpg私たちは生活の中で無意識のうちに行動していることが多くあります.例えば,バッグはいつも決まった方の肩にかけるとか,座っているときの背中の姿勢とか普段の生活の中で,多くの人はあまり気にかけずに過ごしています.また,そのことを他人に指摘されるのはいやなものです.
何かきっかけで自分自身で気づいたとき,行動を改める動機づけはかなり大きいと思われます.これから他人から指摘されずに気づきをうながす方法として,ラインナップというゲームによる実際例を紹介します.
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▼実際例:ラインナップゲーム
 
  □ラインナップゲームとは?
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spacer.gif 1グループ5人〜10人になるようにして,2〜3グループに分かれる(同じ人数)(グループ内の人数とグループ数は全体の人数によって調整する)
指導者から出される課題に従ってすばやく並びかわる

並びかわったらその合図として全員でその場にしゃがむ
条件どおりに正しく並んでいなければ失格
失格していないグループについて,並びかわりの早い順で勝敗をつける
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  □A事業所での実際例
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spacer.gif susume01_10_06.jpg指導者の「これから,ラインナップというゲームを行います.」…という呼びかけからルール(前述)を説明して,並びかえの条件として,定番の条件である身長順の並びかえ等で行ったあとに,「通勤にかかる時間の短い順」「通勤方法にかかわらず時間が短い順」と条件を出して,ヨーイ・ドンで開始した.
みんなは一斉にお互いの通勤時間を教え合い,順番を決め始める.

順番が決まったグループからしゃがみこむ.
すべてのグループがしゃがんだところで,正しく並んでいるか確認をする.

指導者が「このグループから確認します.」「通勤方法と時間を言ってください.」とうながし,各グループのメンバーが一人ずつ通勤方法と時間を答える.

Aさん「車で5分」,Bさん「自転車で15分」,Cさん「車で35分」…Fさん「歩きで45分」,…ここでみんなの歓声が「エエー? すごい!」…

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全てのグルプについてメンバーの順番が正しいかを確認した後,指導者が勝敗を告げる.勝敗が決まる瞬間がまた盛り上がる.

最後に,指導者から「ところで,通勤以外に歩いている人がいますか?」とたずねると,Gさんが「わたし,夕方に犬を連れて30分ほど散歩してます.」,続けて,Hさんが「オレも夕方によく歩くよ」と言ったら,周りから「飲み屋をさがしに歩いてるんだろう.」と突っ込まれる.すると,Iさんが「わたし,最近,毎日1時間ぐらいのウォーキングをはじめました.」というと,周りから「ヘエー,知らなかった.」「ウォーキングはじめたんだ.」と,みんな感心する.

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以上,実際にラインナップゲームを行った場面の一部でした.
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▼解説:ゲームから健康指導へのステップアップ
 
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さて,最後の場面で正しく並んでいるかを確認していますが,みんなは素直に自分の通勤方法と時間を申告していました.そして,仲間の生活(通勤時間)も聞くことができました.自分の生活と仲間の生活と比べて,自分自身で自分の生活を見つめ直すいい機会になったと思います.指導者は「ああしろ,こうしろ」とは一言も言いません.つまり,ゲームが押しつけのない健康指導になったのです.
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  □健康指導につながるゲームの工夫  
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○生活習慣に関することを課題に出すことで…
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  プライバシーに関わることは課題としては不適切ですが,日常生活の中に見られるちょっとしたことなどを課題とすることで何の抵抗もなくゲームを楽しめます.
また,ゲームだから楽しくお互いの自分の生活習慣をみんなに紹介できるとも言えます.
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○ゲームが健康指導になる
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  これはだめ,こうするといいですよ,こうしなさい…といわなくても,ゲーム中に仲間が紹介する生活習慣の内容を聞くことで何かを感じとり,そして自分のこととして考える人も出てくると考えられます.
そのちょっとしたことによって,抵抗なく,参加者自身の生活を見つめ直すきっかけになるかもしれません.
身近な人が実行している健康づくりなどを知ることで自分もやる気が起きることがよくあります.(代理経験による自己効力感の高まり)

<コラム>
自己効力感(Self-efficacy)
バンデューラ(Albert Bandura)の社会的認知理論によると,人の動機づけと行動は予期(期待)によってコントロールされている.

○予期(期待)には次の3つのタイプがある.
・状況一結果期待:状況の予測
・行動一結果期待:行動することで予測される利益や不利益
・自己効力感:目標を達成するための行動を実行する能力に関する信念

○自己効力感は4つの情報源によって規定されている.
・成功経験:自分が行動して達成できたという経験
・代理経験:自分と同じような人が努力し,成功するのを見たり聞いたりすること
・言語的説得:専門家による講義や家族や同僚などの説得
・生理的・情動的状態:ストレスや緊張を感じて声がふるえたり,赤面したりする生理的反応は自己効力感を下げる.逆に気分がよい場合などは自己効力感を高める.

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○健康指導につながるゲーム課題のいろいろ
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  どんな方法でもいいから,通勤時間の短い(長い)順に並ぶ
休日の起床時間の遅い(早い)順に並ぶ
食事のとき一口分を咀嚼する回数の少ない(多い)順に並ぶ
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▼参考
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ラインナップゲーム(応用版)と健康指導に活かせるゲームのいろいろ
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ここでは,ラインナップゲームの応用として4種類を紹介します.場所や対象者に合わせて試してみてください.また,他己紹介というゲームも健康指導に活かせるゲームとして紹介します.
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  □ラインナップゲーム(応用版)
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○ライン上で並ぶバージョン
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  susume01_10_09.jpg地面にラインを引きそのライン上から足がはずれないように並びかわる.
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○丸太あるいは狭い台の上で並ぶバージョン
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  susume01_10_10.jpgラインではなく,丸太の上(細長い台)から落ちないように並びかわる.
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○言葉を使わないで行うバージョン
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susume01_10_11.jpg並びかわる条件をしゃべらずに教え合う.手やジェスチャーなどを駆使して意思を伝え合う.
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○目だけしか使えないバージョン
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  susume01_10_12.jpg目は口ほどにものをいうではないですが,動かせるのは目だけという条件で意思を伝え合う.
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  □他己紹介
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○他己紹介とは
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他己紹介用メモ
名前 spacer.gif
年齢(自称も可)
趣味
好きな食べ物
嫌いな食べ物
休日の過ごし方
将来のゆめ
あらかじめ用意しておいた自己紹介用のメモに趣味,好きな食べ物,休日の過ごし方や将来のゆめなどを記入しておく.
(メモに記入する項目は利用目的によって適宜変更する)
それを参加メンバーで互いに交換して,他人のことを自分のことのように紹介するゲーム.
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▼おわりに
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ここでは,ゲームが使い方を工夫すれば魅力ある健康指導のツールになることを紹介しました.たかがゲームと思ってはいけません.みんなの気分を楽しく盛り上げるゲーム.それだけでも充分役立つゲームですが,そのゲームに自分の生活習慣を確認する場面をさりげなく入れることで自分の生活習慣に気づき,仲間の生活行動を知ることで自分の生活習慣改善のやる気が高まることが期待できます.
さあ,いつもの朝礼でたまには,職場のみんなのムードを盛り上げながら健康づくりに役立つゲームを,一度お試しあれ!!!

福島光彦(Email:mfukushi@jisha.or.jp)

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