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クランプの安全な取り扱い方法について
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spacer.gif 日本クランプ(株)葛西義直
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1. はじめに
 
  1-1 つりクランプが日本に導入された経緯
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susume02_04_01.jpg玉掛け用つりクランプ(以下,クランプと言う)は日本で開発されたクランプもあるが,一般的に使用されている縦つり及び横つりクランプは,1937年(昭和12年)に米国のR社によって開発されたものである.
国内においては,1960年(昭和35年)日本の商社がM社やR社より輸入販売を開始した.1962年(昭和37年)から本格的な国内製造販売が開始され,年々需要も増えていった.今日では建築,土木,鉄工,運輸,造船,重機,機械,金属等幅広い分野で使用されコストを大幅に低減させることに役立っている.
その反面使用ミスや点検不良による人身事故が発生し尊い命が失われている.そこで改めてクランプを安全に取り扱う上での重要な要点を記載する.
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  1-2 クランプの規格化 
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クランプの規格化については,1991年(平成3年)厚生労働省(前労働省)より(社)日本クレーン協会に対し「クランプ,ハッカーに対する玉掛け作業の安全基準マニュアルの研究」が委託されクランプ,ハッカー等分科会にて調査研究が行われた.その結果は(社)日本クレーン協会規格として次のように公示された.
・JCAS9061-95玉掛け用クランプの作業マニュアル
・JCAS9062-95玉掛け用クランプの点検マニュアル
なおつりクランプの安全基準は平成14年のクレーン誌1月号に掲載された.
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2. クランプの構造,機能
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クランプの構造は,外観は単純で簡単に見えるが,構造力学,材料力学,機械力学等幅広い高度な知識を駆使して作られた倍力装置である.
一般的な縦つり及び横つりクランプの構造と機能はつり環,リンク,カム(歯)から構成され,つり荷重をカムの押え力(カム力)に変換させつり荷にカムを噛み込ませることにより安全につり荷をつり上げることができる.このときのカムの押え力(カム力)は縦つりクランプでつり荷重のおよそ1.6倍,横つりクランプでつり荷重のおよそ1.0倍のカムの押え力で押えている.
つり荷が極端に軽いときは,カムの押え力によるつり荷への十分な噛み込みが出来ず,つり荷を完全につり上げることが出来ないことがある.
ロック装置は安全に固着するものではなくつり荷重が作用していない状態において,クランプがずれないよう保持することと,立て起し等のときカムが絶えずつり荷にフィットする機能をもたせたものである.但し,製造者によっては自動ロック装置付のクランプもある.
一般的な縦つり及び横つりクランプは次のとおりである.

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3. クランプ使用上の注意
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クランプを使用する前に,取扱説明書,カタログ,関連クレーン等安全規則,各製造者の作業マニュアル及びJCAS玉掛け用クランプの作業マニュアル等必ず熟読し理解してください.
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spacer.gif 3-1 作業開始前の確認
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spacer.gif (1) 作業に適合したクランプの選定 
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縦つり,横つり,縦横兼用型,ねじ式万能型及び専用型クランプの中から作業に適合するクランプを選定すること.
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spacer.gif (2) つり荷の条件 
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(a) ぜい性材,高硬度材及び低硬度材は使用禁止.
(b) susume02_04_03.jpgつかみ部の勾配が抜け勝手に10°以上あるつり上げ物は使用禁止.

(c)

susume02_04_04.jpgつかみ部にミルスケールや厚い塗膜の塗装材,乾燥していない塗装材,油等が付着しているつり上げ物(ウォッシュプライマー塗装材は除く)は使用禁止.
(d) つり荷重がクランプ表示使用荷重範囲内であること.
使用荷重は最大使用荷重を表示している.
最小使用荷重は表示荷重の約1/5(製造者によって表示が異なる)
(e) つり荷の板厚は使用するクランプの許容範囲内であること.
(f) susume02_04_05.jpgつり荷の温度(雰囲気含む)が150℃以上のもの及び−20℃以下の低温(雰囲気含む)での使用禁止.
(海水,酸,アルカリ等の薬品での使用も禁止)
(g) susume02_04_06.jpg鋼矢板の引き抜きには専用クランプを使用し,一般縦つりクランプの使用禁止.
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spacer.gif 3-2 クランプ作業
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(1) 1点つりでクランプを使用しないこと.(クレーン等安全規則第29条参照)
(2)   つり荷の落下,転倒範囲内に立ち入り禁止.
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(3)

  次のようなつり方には使用禁止.(重ねつり,当て物つり,段つり,共つり及び横つかみつり)
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(4)   susume02_04_09.jpgバックホーでの使用禁止. (動きが早いので危険)
(5)   クランプの取り付けば,2個以上のクランプでバランスを保つ位置に取り付け,つり荷の安定を図ること.
(6)   susume02_04_10.jpgつり角度,掛け巾角度は,形式に合った規定の角度以内とすること.
(7)   クランプは開口部奥まで差し込むこと.
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(8)   ロック装置つきのクランプは,必ずロックを掛けること.
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(9)   susume02_04_13.jpg引きずり作業の禁止.
(10)   取手付クランプの取手でのつり上げ禁止.
(11)   クランプは必ず点検済みのクランプを使用すること.
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4. クランプの点検
  4-1 作業開始前点検(日常点検)
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susume02_04_15.jpgクランプの取り扱い責任者及び作業者は,必ず作業開始前の点検を行うこと.  (点検項目は表1による)特に下図の点検が重要である.
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  4-2 定期点検
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定期点検は製造者が指定する期間に定期的に分解点検を行い点検記録表に点検結果を記録しなければならない.点検は製造者又は製造者が認定した者が行う.
点検終了後,点検済の表示をし,表示のないクランプは使用禁止とすること.点検箇所及び点検項目は表1による.
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表1 点検箇所および点検項目
No. 点検箇所 日常点検項目 定期点検項目
月例点検 3ヶ月〜1年毎の点検
  外観 歯の目詰まりの有無
基本使用荷重の表示内容
同左 同左
クラック・錆びがないこと
  機能 つり環・リンク・カム等の連動機能がスムーズなこと 同左 各部がスムーズに作動すること
1 本体 変形・き裂・口の開きがないこと 同左 同左
ピン穴・接触部の磨耗がないこと
2 つり環 変形・磨耗・曲がりがないこと 同左 同左
ピン穴の磨耗がないこと
3 つり環ピン - - 変形・曲がり・磨耗・きずがないこと
4 カム 磨耗・き裂・欠けがないこと目詰まりがないこと 同左 同左
錆び・ピン穴の磨耗がないこと
5 カムピン - - 変形・曲がり・磨耗・きずがないこと
6 ジョー 磨耗・き裂・欠けがないこと目詰まりがないこと 同左 同左
錆びがないこと
7 リンク - - 伸び・穴の変形がないこと
8 リングピン - - 変形・曲がり・磨耗・きずがないこと
9 ロック装置 変形・曲がりがなくロックがスムーズなこと 同左 同左
ロックでカムが下がること
10 ばね 変形・錆びがないこと 同左 変形・捩れ・伸びがないこと
  ボルト・ナット 変形・緩み・脱落がないこと 同左 変形・曲がり・磨耗・きずがないこと

日常点検(作業開始前の点検) 原則として非分解点検  
定期点検(月例)  (「点検済み」の表示をする)
定期点検(3ヶ月〜1年) 分解点検を行なう (「点検済み」の表示をする)
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5. 安全な取り扱いについてのまとめ
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    クランプによる事故の大半は,誤ったクランプの取り扱い及び点検不良クランプの使用にある.作業者は,以上のように注意事項を守り正しくクランプを取り扱い,安全な作業を心がけてください.
クランプは,専用クランプを除いて一般の縦つり及び横つり型では,つり荷重をカム(歯)に伝達させ,つり上げ物に噛みこませ(歯形をつけ)て,種々なつり上げ物をつることができる.
つり荷が軽くて歯形がつかない場合摩擦に期待するほかなく,滑りを生じつり上げができないことがある.
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