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小型移動式クレーン(かにクレーン)の安全運転のポイント
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1. はじめに
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susume03_05_01.jpg 通称「かにクレーン」とは,積載形トラッククレーンが作業できない山間部,不整地,特に墓地,霊園にて作業が可能なクレーンとして昭和55年頃('80年代前半)に石材業を中心に普及が始まりました.
アウトリガーを設置した形状が「かに」をイメージ・連想したものです(図1).クレーンの能力は,比較的小さく,最大でも2.9トンつりです.
また,平成元年頃('90年代初め)より,リース・レンタル業への普及が始まり,石材業者だけではなく,建築・土木現場でも「かにクレーン」を操作・運転する機会が多くなりました.
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2. 「かにクレーン」の特徴について
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susume03_05_03.jpg誰でもが操作・運転する機会の多い積載形トラッククレーンと比較して,

第1に,走行体がゴムクローラ(ゴム履帯)であること.
ゴムクローラの特性を生かして,アスファルト・コンクリート道路,建築物の床面等の整地された場所は勿論,未舗装通路,建築や土木作業現場,軟弱地も走行が可能です(図2).
走行姿勢は外形寸法もコンパクトに設計されています.一般的には,走行時全幅が600mm(1トンつり)〜800mm未満(2.8トンつり)で,霊園,墓地での狭い通路,坂道,数cmの段差がある通路も走行できます.建築現場で廊下や部屋のドアを開けて,室内の移動も可能です(図3).

第2に,走行時がコンパクトになっているために,クレーン作業をする場合には,必ずアウトリガーを張出すことにより,クレーン作業が可能になります.アウトリガーは,クレーン設置場所の広さに応じて,段差のある場所,凹凸のある場所,障害物を避けて,張出し角度,張出し長さを選択して設置することができます(図4).

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3. 転倒災害およびその防止対策について
「かにクレーン」の転倒災害は,・アウトリガーの張出しが不完全だった.・オーバーロード(過荷重)だった.・アウトリガーの設置した地盤が軟弱だった. ことが原因のほとんどです.
以下に,その対策を述べます.
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(1) アウトリガーの張出しが不完全
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susume03_05_0302.jpg「かにクレーン」は,アウトリガーが地形・地盤に合わせて設置することが可能ですが,相反して危険が存在することを忘れてはなりません..
【対策1】
アウトリガーは,最大(標準)張出し状態でクレーン作業を行って下さい.
『アウトリガ最大(標準)張出し状態』(図5)とは,

(1) アウトリガーの設置角度を,最大(標準)角度にすること.
(2) アウトリガー屈折部のピンを,最大位置にすること.

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アウトリガーのスライド部を,最大に引き出すこと.
です.
取扱説明書,クレーン運転士教本などには『アウトリガーは必ず最大張出しで作業してください』と説明されています.
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最大張出しの状態(図6)では,定格総荷重表(表1)を見ると,作業半径2.5mでは1.38トンです(例1).
狭い通路などでアウトリガーが最大張出し状態で設置できない時は,作業半径2.5mでは0.34トンです(例2).
susume03_05_05.jpg取扱説明書には,アウトリガーの設置角度によるクレーン作業を禁止している範囲が明示されていますので確認しておくことが必要です(図7).
 
表1 定格総荷重表(例)

使用ブーム 1および1+2

作業半径(m) 1.4 1.6 1.8 2.0 2.5 2.64
定格総荷重(トン) アウトリガー
最大張出し時
2.37 2.17 1.98 1.78 1.38 1.38
アウトリガー
最大張出し時以外
1.16 0.82 0.66 0.52 0.34 0.33

最大張出しのアウトリガー方向から最大張出しができなかったアウトリガーの方向へ旋回する場合に転倒災害が発生しています.

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(2) オーバーロード(過荷重)
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susume03_05_06.jpg「かにクレーン」は,積載形トラッククレーンと比較して車両質量が軽いので,アウトリガーを最大(標準)張出しにすることが必要です.
.【対策2】
アウトリガーを最大(標準)張出しにする.
定格総荷重を確認して,クレーン作業を行う.
『定格総荷重』とは,荷をつり上げ旋回しても転倒しない,どの位置でも安全につり上げることのできる荷重です.一昔前のクレーンの中には,アウトリガーの設置方向でのつり上げられる最大荷重を定格総荷重にして,過大表示をしているクレーンもありました.勿論旋回作業は,厳禁です(転倒します)(図8).
ご使用になるクレーンの定格総荷重表にて,安全に旋回作業ができるか確認しておきましょう.
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(3) アウトリガーの設置した地盤が軟弱
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susume03_05_07.jpgクレーンを設置する地盤の状況等の確認は,安全作業の必須条件であり,クレーン作業開始前の基本的な確認事項の一つです.
これを怠ると,必ず転倒事故につながります.アウトリガーを最大(標準)位置に張出しても,設置した地盤が軟弱であれば転倒します.
【対策3】  
アウトリガーを設置する地盤の状況をクレーン作業開始前に点検する.必要に応じて地盤に養生をすること.
 「かにクレーン」は,山間部および不整地の未舗装地面にアウトリガーを設置することも少なくありません.敷板,枕木,盤木等々の準備をしておくことが必要です.
敷板等を使用していても,クレーン作業により外れることがありますので,作業中でも確認してください.
「かにクレーン」が活躍する場所は,最近建築現場でもよく見かけます.床面上でクレーン作業をする場合は,床面の強度が心配になります.
床面の強度にも限界がありますので,アウトリガーに掛かる荷重を算出して,安全を確認することも是非行ってください(図9).
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4. 安全装置について
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つり上げ荷重3トン以上のクレーンには,『過負荷防止装置(モーメントリミッタ)』の取付けが義務付けられています.「かにクレーン」は,つり上げ荷重3トン未満のものが多く,機種を限定してオプションとして取付けられています.

(1) アウトリガーの設置角度が最大(標準)角度に設置されているか?
(2) アウトリガー屈折部のピンが最大(標準)位置に差し込まれているか?

(3)

アウトリガーのスライド部が一杯に引出されているか?

を検知して,モーメントリミッタが正常に作動します.
(1),(2),(3)のどれか一つでも最大(標準)状態で無ければ,有効に作動しないことがありますので,作業者はモーメントリミッタを目安として活用しても,過信しないことです.また,前後左右に設定角度以上に傾くと警報が鳴る『傾斜警報器』を取付けている「かにクレーン」がありますので,転倒に注意してクレーン作業を行うことができます.
狭所,室内,屋内作業で,「かにクレーン」のエンジンの排気ガスによる大気汚染を問題にする場合には,電動モーターに切換えてクレーン作業ができるタイプもありますので,検討してください.
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5. 危険予知について
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定格総荷重表の範囲内でクレーン作業を行うことを遵守していれば転倒事故は,防ぐことができます.(勿論アウトリガーの張出し・設置は,最大(標準)位置で行うことが必要です.)
「かにクレーン」は,コンパクトであるために,狭所・室内・屋内で使用されることが多くあります.その際のクレーン作業計画では,クレーン容量の100%近くで「かにクレーン」の機種を設定される場合がありますが,是非余裕のあるクレーン作業を行っていただけるよう1クラス上のクレーンを使用することにより,安全なクレーン作業を行っていただくことを望みます.
「かにクレーン」の多くは,遠隔操作が可能です.クレーンの周囲に注意しながら,安全な位置での操作ができますので,大いに活用するべきでしょう.
また,荷のつり上げ高さを,地切りした程度におさえて旋回操作をした場合は,転倒が始まっても,荷が地面に早々に着きますので転倒防止になります.必要以上に荷をつり上げないようにしましょう.地面の凹凸,障害物等がある場合は,直前・直後でつり荷の高さを調整してください.
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6. おわりに
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安全に作業をするためには,クレーンが常に健康な状態(クレーンの性能,機能,品質等を常に維持する.)でなければなりません.月例検査,年次検査を励行することでクレーンの健康を維持することも必要です.
また,優秀なオペレーターとは,常に安全作業に心掛け,災害防止に努力をしている人であると考えます.

((株)前田製作所 大川公一)

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