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つりハッカーの安全な取扱い方法について
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1. はじめに
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(1) つりハッカー

 玉掛け用つりハッカー(以下,ハッカーという.)は鉱山で使用された名称や一般的にはフッカ ー(HOOKER)が訛りハッカーとなったとの説もある.また鉄筋工が使用している鉤状のものもハッカーと呼ばれている.

  いずれにしてもその語源および使用分野については定かではない.

 (社)日本クレーン協会規格JCAS9605-2004のつりハッカーにおいては,英国での名称を採用しPlate hook と命名した(Lifting hook という場合もある).

  ハッカーの使用にあたっては,今日玉掛用具として広く各分野で使用されている.使用方法が単純であるが,その反面使用ミスや製造不良などによる事故が多く,尊い命が失われている(ここ2〜3年で,5件前後の死亡災害が発生している).

(2) ハッカーの規格化

 ハッカーの規格化については,つりクランプ同様 1991年(平成3年)厚生労働省(前労働省)より(社)日本クレーン協会に対し「クランプ,ハッカーに対する玉掛け作業の安全基準マニュアル」の研究が委託され,クランプ,ハッカー等分科会にて調査研究が行なわれ,クランプと,ハッカーについての作業マニュアル,点検マニュアルが規格化された.

 今回,JCAS9063-95玉掛け用ハッカーの作業マニュアルを参考とし,ハッカーの構造および製造に関する規格について,つり具委員会,クランプ,ハッカー安全基準検討分科会にて調査研究が行なわれた.

 その結果は(社)日本クレーン協会規格案として平成 15年12月クレーン誌に掲載された.

 つりハッカーには一般に使用されるハッカーとつり荷形状に合わせた,いわゆる特殊用途に使用するハッカーとがあるが,本規格では鋼板や形鋼およびパイプ材などを対象とした一般的なハッカーについて適用することとした.

 適用外ハッカーには構造物,丸棒,鋼矢板,コンクリート製品などがある.

(3) ハッカーの安全

 ハッカーの使用に当り,その安全については他の玉掛用具(つりクランプ等)と比較すると多少の問題が残る.そのため,作業方法について(重心の見定め,つり角度,掛け巾角度絞りつり等)十分検討し安全を確認のうえ使用しなければならない.

 また仮置き並びにつり荷の一部が他の構造物等に当たったとき無負荷となり滑りをおこしたり外れることがあるので,性能についても熟知し使用しなければならない.

(4) ハッカーの強度と特徴

 ハッカーは,つり方により,つめの先端に荷重が掛かったり,絞りつり等ではそのつり角度によって合成力が(実際ハッカーに掛かる荷重=合成力)基本使用荷重(垂直荷重)の1.4倍(45゜のとき)となることがある.

 そのときの使用荷重は基本使用荷重/1.4でなければならない.この認識を怠るとハッカー1ケに作用する荷重が大きくなり繰返し使用しているうちに破壊することがある.

 ハッカーはつめ部付け根のR が一般的なフック(JISB2803)などに比較し,非常に小さいのが特徴である.(図1参照)

 その結果からも製造上材質の選定,製造方法,熱処理,仕上方法等をよく考慮し製造しなければならない.



図1

 図1(a) (b) はいくつか破壊試験を行なった結果である.

  (a) ハッカーの(カイ)χ=h/2ρ=0.6〜0.7 .
  (b) フックの(カイ)χ=h/2ρ=0.3〜0.4

 その結果からも製造上材質の選定,製造方法熱処理,仕上方法等よく考慮し製造しなければならない.

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2.ハッカーの性能
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(1) ハッカーの形状

 今回制定したJCAS9605-2004においてはハッカーによるつり方と形状は図2に示した.この場合に,つめと,つり方向のなす角度β≦90゜が最も安定した形状である.


図2

 

(2) ハッカー使用上の注意点

 ハッカーは形状およびつり荷の板厚および板巾などによりハッカーと板との接触点並びにつり方向や角度が変化する.そのため転倒モーメントも変化し外れやすさを招くことがある.〔図3(a) (b) (c) 参照〕

  図3において(a) (b) (c) は同一ハッカーとしたとき板厚(t1,t2,t3)の変化により,概ね(a) (b) (c) の形態となる.但し,同一の玉掛け用スリング使用の場合,板厚および板巾により δと θは変化する.

 したがって,つり荷が安定するかどうかを次の計算方法で確認することができる.

 (a) 図において

 
 

 (b) 図において

 
 

 (c) 図において

 

 但し θが大きくなったとき外れやすいので注意しなければならない.

     


図3

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3.ハッカーの正しい使用方法
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 ハッカーの使用にあたり,安全な使用方法をJCAS9063-95「玉掛け用ハッカーの作業マニュアル」より抜粋し,以下に示す.

(a) 4点絞りつり方法

  イ たわみを起こさないとき
 

 ロ たわみを起こすとき
 

(b) 引掛けつり方法

 イ 一般的な使用例
 

 ロ 推奨できない例

鋼板等において良く使われる使用方法であるが,ハッカーが外れやすいので推奨しない.

(c) 正しいつり角度等

 

(注) つり上げ物の大きさによってハッカーを4点以上の多点つりする場合があるが,このときL と l との関係によっては,中間ハッカーにまったく荷重が作用しなかったり逆に5/4=1.25倍の荷重を受けることがあるので荷重の割り出しに注意する必要がある.

 

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4.おわりに
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(社)日本クレーン協会規格(JCAS9605-2004)「つりハッカー」の制定に携わった者として,玉掛け用ハッカーに関する正しい使用方法について述べた.ハッカーは,簡単に玉掛け出来る用具であるが,ハッカーの性質や正しい使い方をしないと,非常に危険なものともなるのでここに記載した内容を良く理解して使っていただきたく思います.

 なお,1995年に制定したクランプとハッカーに関する以下の4マニュアルは,現在前記分科会にて見直し作業を行っており,今年秋頃には改正規格が出される予定でありますのでその際にはそれらも参考に安全な作業に心がけるように致しましょう.

  • JCAS9061-95「玉掛け用クランプの作業マニュアル」
  • JCAS9062-95「玉掛け用クランプの点検マニュアル」
  • JCAS9063-95「玉掛け用ハッカーの作業マニュアル」
  • JCAS9064-95「玉掛け用ハッカーの点検マニュアル」

(日本クランプ (株)葛西義直)

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