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積載形トラッククレーンの安全運転・作業について(2)完
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1.はじめに
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 積載形トラッククレーンによる重大な災害は,他の移動式クレーンに比べて機体・構造部分が折損・倒壊・転倒したものが目立って多く,62.5%に達しています.これは,つり上げ荷重3トン以上の移動式クレーンには過負荷防止装置が義務付けられていますが,積載形トラッククレーンのほとんどがつり上げ荷重3トン未満でこの規制の対象外であることが要因と考えられます.しかし,積載形トラッククレーン特有の性能特性が人為的なミスにつながりやすいことも大きな要因となっています.それは積載形トラッククレーンはつり上げ専用の移動式クレーンとは異なり,荷物を運び,荷物を積み降ろしする機能を備えていることによります.積載形トラッククレーン特有の性能特性は次のようなことが挙げられます.

<積載形トラッククレーン特有の性能特性>
@ 旋回中心と転倒支点間距離が旋回方向により異なる為,後方・側方・前方の作業領域で安定度に極端な差が出る.
A 同一旋回方向でも,荷台の積荷の質量・位置により安定度に差が出る.また,荷物の積み降ろしにより,自重が変化し,安定度も変化する.

 

平成14年における積載形トラッククレーンによる死亡災害の中でも
機体・構造部分の折損・倒壊・転倒に起因するものは62.5%に達する

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2.転倒事故防止について
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 転倒事故の主因はオーバーロードです.転倒事故を防止するポイントをまとめると,次のようなことが挙げられます.

<転倒事故を防止するポイント>
@ アウトリガーは最大に張出す.
A アウトリガーの設置地盤は養生する.
B 作業は空車時定格総荷重に基づいて行う.
C 旋回時には作業領域に注意する.
D 積荷を降ろすときは車体の安定度に注意する.
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3.アウトリガーは最大に張出す
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 積載形トラッククレーンの性能は,アウトリガーの張出し幅によって変化します.最小張出しの性能は,最大張出しに比べ大幅に低下します.(表1参照)さらに,張出し幅が狭くなるほど転倒に至るまでの余裕が少なくなるので注意が必要です.これらのことからアウトリガーは最大に張出すことが原則です.

@ アウトリガーは最大に張出す.

アウトリガーは常に最大に張出してください. 最小張出しまたは中間張出しで作業が可能な場合でも,安全のため,最大に張出して設置することを原則にしてください.やむを得ず最小張出しまたは中間張出しで作業する場合には,「空車時定格総荷重表」の最小張出しの性能で作業してください.

A アウトリガー張出し幅が左右で異なるときは最小張出しの性能で作業する.

やむを得ず左右の張出し幅が異なるアウトリガー設置状態にしたときは,必ず最小張出しの性能で作業してください.アウトリガー張出し幅の大きい領域でつり上げ,張出し幅の小さい領域に不用意に旋回すると転倒する恐れがあります.張出し幅の小さい領域へ旋回するときは,つり荷の重さがアウトリガー最小張出しの「空車時定格総荷重」以下であることを確認した上で,作業を行ってください.

B 3段ジブ以上の作業はアウトリガーを最大に張出す.

ジブが長くなると,安定度は悪くなります.3 段ジブ以上を伸長して作業を行う場合は,必ずアウトリガーを最大に張出してください.中間張出しで作業できるジブの段数は機種によって異なります.作業開始前に使用できるジブ段数を「取扱説明書」等で確認しておく必要があります.

表1 空車時定格総荷重表(例)

3.27m/5.5m ブーム
(側方,後方領域)
作業半径(m) 2.6 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5
アウトリガー最大張出 2.93 2.18 1.58 1.25 1.05 0.9 0.83
アウトリガー最小張出 1.18 0.93 0.73 0.58 0.48 0.43 0.38

 

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4.アウトリガーの設置地盤は養生する
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 安全な作業を行うためには,車体とつり荷を十分支持することのできる堅い地盤の上にアウトリガーを設置することが必要です.軟らかい地盤の上にアウトリガーを設置すると,ジャッキフロートが地中に沈んで車体が傾き,最悪の場合転倒します.また, 一見して堅そうな地盤でも,内部の状態によっては車体を支える力が不足する場合があります.次のような地盤に対しては十分注意を払い,地盤の養生を行ってください.
. (1) 簡易舗装の路面
. (2) 歩道等の敷石路面
. (3) 掘削工事後に埋め戻した場所
. (4) 埋め立て地
. (5) 路肩や掘削穴の近辺


<地盤の養生>
 軟弱地など車体とつり荷を支える力が不足する場所にアウトリガーを設置する場合,下記の処置を行って地盤を修正してください.
@ 傾斜地及び凹凸のある場所は,水平に設置できるように地盤を整地する.
A 地盤にかかる力を分散させるために,地盤の状態に見合った大きな面積と十分な強度のある鉄板や木材を敷き,その中央部にジャッキフロートを設置する.

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5.作業は空車時定格作業に基づいて行う
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 積載形トラッククレーンは荷台の積荷によって安定度が変化し,積荷がないときが最も不安定になります.この最も不安定な状態を基準に設定された「空車時定格総荷重」で作業する事が基本となります. 「空車時定格総荷重」は荷台に積荷がないときに, クレーンに負荷できる最大の荷重(つり具の重量を含む)をいい,クレーンの強度と安定度に基づいて決められています.したがって,通常の作業はこの「空車時定格総荷重」の性能で行います. 「空車時定格総荷重」はクレーン作業が後方領域または側方領域で行われるときのもので,前方領域は考慮されていません.前方領域では安定度が悪くなりますので,「空車時定格総荷重」の25%以下で作業してください.


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6.旋回時には作業領域に注意する
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 積載形トラッククレーンの作業領域は下図のようになります.クレーン作業時には,この作業領域に示された積載形トラッククレーンの特性をよく理解することが必要です.作業領域時からは次のことが分かります.

@ 空車時定格総荷重は後方領域,側方領域とも同じ値に設定されています.
A 後方領域は最も安定がよく,安定に関係なくウインチ能力一杯の荷物をつり上げることができます.このため,後方領域で荷物をつり上げ, 側方領域へ旋回するときはオーバーロードによる転倒に注意しなければなりません.


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7.積荷を降ろすときは車体の安定度に注意する
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 車体の安定度は荷台に積荷を積載しているときと空車時では大きく異なります.積荷が減るに従って安定度は悪くなりますので,荷台から積荷を降ろすときは特に注意が必要です.荷台から積荷を降ろすときは,次のことに注意してください.

@ 積荷の質量が「空車時定格総荷重」以下であることを確認する.
A たくさんの積きは,作業半径が順次小さくなるように,荷台後方の積荷から降ろす.
B 後方領域から側方領域へ旋回するときは,つり荷が荷台の外へ出たら,万一バランスを崩しても,転倒する前につり荷が先に接地する安全な高さまで降ろしてから旋回する.
C 側方領域での作業は,後方領域よりも安定度が悪くなります.後方領域から側方領域へ旋回するときは,安定度を確認しながらゆっくりと旋回する.
以上転倒を防止するポイントについて説明いたしました.

 

 


8.おわりに
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 積載形トラッククレーンは「吊る,積む,運ぶ, 作業する」といった一連の作業を一台で行うことができるため,さまざまな業種で幅広い用途に便利に使用されています.一方では,積載形トラッククレーン特有の性能特性が人為的なミスにつながり,重大な災害を発生させています.転倒事故は十分に注意を払って作業すれば必ず防げるものであり,難しいものではありません.積載形トラッククレーンの特性を理解して安全運転を行ってください.

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