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安全保護具の種類と正しい使い方(4)−手袋−
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はじめに
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 手袋は冬の寒さから身を守るだけでなく,作業中に作業者の手や手首上部まで災害から守る目的で使用されています.そのため作業内容に合った手袋が要求され,いろいろな種類の手袋が開発され使用されています.

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1.種 類
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 大きく分けると次のように分類できます.

(1)綿製

spacer.gif @ 綿手袋
    spacer.gif  昔,軍隊で使用していたため軍手と呼ばれていたが最近では綿手と呼ばれています.
純綿,混紡,特紡の糸を編んで作られており蒸れにくく純綿は熱にも強い.特紡は,繊維クズや綿を太い糸に再利用し作られています.純綿より弱いが,安価で吸汗性が良い為綿手の中では一番多く使用されています.
      A 合成繊維手袋
         ナイロン,ビニロン,アクリル繊維で編んだ手袋で,色も鮮やかで水切りが良く保温性があります.熱に対しては溶けて肌に溶着するので熱現場では使用しないでください.
  物を持つ時に滑りやすい欠点があります.

ナイロン糸で編んだ手袋
      B 加工手袋
         合成繊維手袋の滑りやすい欠点をゴムや塩ビで手の平に加工した手袋です.また綿手は糸を編んでいるため突刺しに弱い欠点を補うため,手の平全体にゴム等を貼りつけた加工手袋もあります.
 綿手類は突刺しに弱く,回転体では手袋が引っかかり巻き込まれる恐れがあるため使用しないでください.
       
    
ゴム引手袋                  ビニポツ手袋
     
    (2)革手袋
         牛革は本来厚いため2枚以上にそぐ作業により,使用目的に合った皮の厚みに分ける作業が必要です.表皮がついている革を本革,一方を床革と呼んでいます.
      @ 本革手袋
         薄い牛革,豚革,山羊,鹿革で手にフィットするよう作られており,細かい作業に向いています.使用すればするほど手に良くなじみます.
     
       牛革手袋              豚革袖マジック式           牛革甲メリヤス式
      A 牛床手袋
         厚手の牛床革製で,一番多く使用されています. 引裂きや突刺しにも強く耐熱性もあります.しかし,一時的に熱に耐えるが,熱伝導により熱傷の恐れもあるので使用は短時間にしてください.
          
牛床革手袋               牛床革手袋当て革付
      B 溶接用手袋
         手の部分は厚手の本革で袖の部分は床革を使用した商品と床革製があります.溶接の火花や溶解金属が袖部から進入しないよう袖が長く作られています.5本指,3本指,2本指の3種類があります.
          
溶接用(3本指)                溶接用(5本指)
     
    (3)ゴム手袋
         ゴム手袋は家庭炊事用や一般作業用と化学薬品を扱う時に使用するケミカル用に分かれます.
      @ 一般作業用(炊事用) 水産加工や土木現場で多く使用されています.
          
炊事用ゴム手袋               一般作業用ゴム手袋
      A ケミカル用
       
  
耐溶剤用ウレタン製手袋             耐油性塩ビ製手袋
      B 耐薬品用(化学防護手袋)
         化学物質を扱う手袋の総称ですが,化学物質は5万種類以上あり,一つの手袋では対応できません.化学物質により手袋の素材自体が侵されたり, 浸透します.最近は,浸透しなくても気体化された有害なガスが透過するということが問題視されています.化学物質が手袋の中に浸透しないのに手のかゆみやかぶれの災害が多く報告されています.
  化学物質を扱う時は,メーカーに問い合わせるか手袋メーカーと相談し,作業内容に最も合った手袋を選ぶ必要があります.また使用後の保守・点検も重要な課題ですので,きちんと管理する必要があります.
  使用時に手が白く変色したり,かゆみを感じたら直ちに使用を中止してください.
     
    (4)特殊手袋
      @ 防振手袋
         長時間,振動工具等を使用すると手の血液循環が悪くなります.振動障害を防止するために防振手袋を使用してください.
  構成は手袋を2重にし,間にスポンジやゴム管を入れ,手に伝わる振動を押さえます.最近ではスポンジに代わるエアーキャップや衝撃吸収材等を使用した手袋も開発されています.
       
ゴム管入り革製防振手袋
         綿手袋を2枚重ねで使用しても綿手が圧縮され空気の層が無くなり,振動吸収の効果がほとんどないため使用しないでください.
      A 切創防止手袋
         切創防止を目的とした手袋で,パラ系アラミド繊維が多く使用されています.
  パラ系アラミド繊維とステンレスを編みこんだ手袋もあります.一番切れにくいのは鎖手袋と呼ばれているステンレスを編みこんで作られているものです.
         
パラ系アラミド繊維手袋

鎖手袋
      B 耐熱手袋
         100℃以下であれば,革手袋や純綿手袋で短時間の使用なら可能であるが,100℃を超えると耐熱素材を用いた手袋を使用する必要があります.
  メタ系アラミド繊維,パラ系アラミド繊維があるが,インナーに純綿手袋等を使用し,空気の層を作り,熱伝導を遅らす工夫が必要です.
  耐熱手袋といえども,長時間使用すると手袋自体の蓄熱により手を熱傷する恐れがあるので,出来る限り短時間の使用にしてください.
      C 電気用ゴム手袋
         300V を超え7,000V 以下の電気回路の作業に使用します.
 電圧により3種あります.
  A 種 300V を超え交流600V 又は直流750 V 以下.
  B 種 交流600V 又は直流750V を超え3,500V 以下.
  C 種 3,500V を超え7,000V 以下.
 使用にあたってB,C 種はゴム手袋の上からゴム手袋を保護するための手袋「耐電ゴム手袋保護用手袋」を着用してください.
          
低電圧用ゴム手袋             高電圧用ゴム手袋
         
         作業内容や作業時間に合わせて,自分に最も合った手袋を選ぶことが大切です.
   

 

((株)シモン 桑貝 毅)

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