spacer.gif
工事用エレベーターの組立・解体作業を安全に行うために
spacer.gif  
1.はじめに
spacer.gif spacer.gif


  工事用エレベーターの組立・解体作業(クライミング作業を含む)は高所作業と危険作業が伴い,ひとつ間違えると大きな事故につながります.そこで.日本クレーン協会のエレベーター委員会では,事故防止の目的で「工事用エレベーター組立(解体・クライミング)安全作業マニュアル」をまとめました.
 本文では,このマニュアルに書かれている安全確保のためのポイントで作業指揮者及び作業員の方にかかわる部分を中心に整理しました.
 工事用エレベーターの組立・解体作業にかかわる方々が初心にもどり,再度安全作業のためにやるべき内容を確認し,明日からの実作業に活かしていただくことが,事故防止に.がると考えます.

 


2.工事用エレベーターの組立・解体作業における労働災害の主な発生要因
spacer.gif spacer.gif


工事用エレベーターの組立・解体作業労働災害発生の要因には,次の主だった問題点があげられています.

(1)安全帯を取付ける設備が無かった.
(2)安全帯を掛け替える設備が無かった.
(3)作業手順を誤った.(守らなかった)
(4)配管や配線の接続違い.
(5)危険区域内への立ち入り禁止措置が不十分であった.
(6)作業員の安全意識が欠けていた.

以上のことからもわかるように,この作業は,計画段階での作業内容の検討,予想される危険の摘出,安全設備の先行措置が不可欠となります.また作業方法と作業手順の徹底も重要です.

   

 


3.作業指揮者の選任とその職務
spacer.gif spacer.gif

 工事用エレベーターの組立・解体作業を行う場合,事業者は作業員の中から作業指揮者を選任する必要があります.
また,選任された作業指揮者は決められた職務を実施する責任があり,作業を進めるうえで非常に重要な役割となっています.

(クレーン等安全規則第153条)


図2 作業指揮者の条件と職務

 


 


4.組立・解体作業を行う場合の作業組織と指揮命令系統
spacer.gif spacer.gif

 工事用エレベーターの組立・解体作業を行う場合は,クレーン等安全規則第153条に定められているとおり作業指揮者(安衛側第529条)を選任し,その指揮のもとに作業を行わなければなりません.この場合の作業組織および指揮命令系統は図3のようになります.
指導員の役割を明確にし,全員の意思統一を図ることも重要となります.


図3 組立・解体作業における作業組織と指揮命令系統

 

 


5.作業指揮者の作業の進め方
spacer.gif spacer.gif

(1)災害発生の要因と対策
労働災害を防止するためには,現場の機械,設備,環境等の安全化と並んで,作業(行動)の安全化を図ることが重要です.このため,まず,事前に組立・解体作業に伴う危険性を洗い出し,安全対策(作業の急所と安全のポイント)を盛込んだ作業の方法を決めておく必要があります.
したがって,エレベーターの組立・解体作業を行う場合は,実際に作業する作業員の方達全員が,作業を安全に進めるための作業手順や作業の担当,役割等について知っておかなければなりません.そのために,作業前ミーティングや危険予知活動が重要になるわけです.
また,作業中の作業指揮者は,直接作業を指揮し,作業の実施状況を確認しながら作業員の不安全な作業に対し,注意と指導を行う必要があります.

(2)作業標準と作業手順の必要性
作業標準(呼び方はいろいろあります)は,作業を行う場合の行動のあるべき姿を示したもので,実際に働く作業員の方が作業を安全に進めるために,各作業工程毎の作業の急所,安全のポイントを明示し,誰が行ってもムリ,ムラ,ムダのない方法,手順をわかりやすくまとめた基本的な手順の計画シートで,元請会社が作成します.
しかし,工事現場の状況は,工事規模等によりいろいろ変わっています.
このため,基本な手順だけでは,現場毎に異なる条件が抜けてしまい作業の安全を確保するには十分ではありません.
そこで,工事用エレベーターの組立・解体作業を行う場合は,元請業者の作成した作業標準等を参考にして,現場の状況に合った組立・解体作業の作業手順を定める必要があります.
この作業手順は,現場を監督する各職種の職長や作業指揮者の方がまとめていきます.その時のチェックポイント例が図4になります.

手 順 内 容
1. 作業条件をつかむ
作業場所の状況,環境の有害性など
作業員の能力,資格など
設備,機械の配置および能力など
元方事業者(元請)の作業計画,関係請負人(協力会社)の作業標準等を参考にする.
2. 作業順序を組み立てる
把握した作業条件により,作業の順序を組み立てる.
  @ 作業の大枠をきめる(まとまり作業という)
    作業手順(書)を作成する範囲をきめる(その作業の始まりと終わりを明確にする)
    仕事の区切りをよく考える(工程のあるポイントからあるポイントまで)
  A その作業の流れをきめる(要素作業という)
  B 要素作業ごとに作業内容を主な手順に分解し,各手順を最も合理的な順序に並べる.
3. 安全のポイントを決める
作業の順序に合わせ,安全のポイントをきめる.
手順ごとに作業の「急所」を定め,記入する.
  そうすることによって,
  仕事の「できばえ」がよくなる(成否)
  仕事の「安全」が確保できる(安全)
  仕事の「能率」が上がる(やりやすく)
  のようなことを記入する.
※急所を定める際の留意点
だれが読んでも同じ行動ができるように.
場合によっては「数字」で表現.(○ m〜○ m,○ m 以内又は以上)
「否定的表現」(〜しない)は避け,「前向きの表現」(〜して)で.
(過去の災害事例の活用,危険予知活動など)
4. 作業員の意見を聴く
安全ミーティングで作業員の意見を取り入れる.
「作業手順(書)」にまとめる.
5. 実 施
現場での実施状況等を反省し,次の作業に生かすため,作業手順書をそのつど見直し,改善する.
図4 作業手順書作成のためのチェックポイント

 


6.作業標準(基本的な作業手順)の例
spacer.gif spacer.gif
 エレベーター委員会でまとめた「工事用エレベーター組立(解体・クライミング)安全作業マニュアル」の中の基本的な作業手順シート例を図5に示します.この例では,各作業順序(工程)に対して作業内容および安全上の留意点(ポイント)が整理されています.このシートは,元請がメーカ等に相談し,作成します.


図5 基本的な作業手順書シートの例

 


7.現場条件に合った作業手順
spacer.gif spacer.gif

 この作業手順は,図5のような基本的な作業手順において,各現場の条件・状況により「作業内容」の一部や,「安全上の留意点」が異なる場合が多くあります.この場合に作業指揮者等は,図5のシートに現場として異なる部分を追記したり,絵や図を書き入れたりして,作業前の打ち合わせに利用し,作業内容や安全上の留意点をわかりやすく関係者に徹底します.

 


8.おわりに
spacer.gif spacer.gif

 今回は工事用エレベーターを安全に,組立・解体するためのポイントを述べました.詳細につきましては,前述の「工事用エレベーター組立(解体・クライミング)安全作業マニュアル」を参考にしていただければと思います.
なお,本マニュアルは,平成18年3月22日付基安発第0322004号にて教材として紹介されています.
(エレベーター委員会岸野富夫)

 


spacer.gif
[このページの先頭] [ホーム]