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メタボを克服しよう!
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1.メタボって何?
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 メタボとよく使われていますが,メタボリックシンドロームの略称です。メタボリックは「代謝の」という意味で,メタボリックシンドロームは「代謝に起因する症候群」ということです。これではわかりにくいので,「内臓脂肪代謝の影響により引き起こされる複数の症状を持つ状態」といいかえると少し理解していただけると思います。複数の症状というのは,内臓脂肪型肥満に加えて,@脂質異常,A高血糖,B血圧高値のうち2つ以上あわせ持った状態をいいます。

(1)なぜメタボがよくないのか?
  メタボの状態がなぜよくないのか,軽症のうちは生活に支障があるわけでもないし,苦痛などもないそうです。実はこれが怖いのです。自覚症状が無いままに症状が進行してしまうので,苦痛や生活に支障が出るころになると手遅れだということです。場合によっては命にかかわる。症状を自覚していない今だからこそメタボから脱却しましょう。

(2)内臓脂肪と皮下脂肪
  さて,皮下脂肪はメタボに影響するのでしょうか。実は内臓脂肪に比べて皮下脂肪は代謝が遅く,脂質異常や高血糖,血圧高値にあまり影響しません。これらの症状に影響するのは代謝スピードが早い内臓脂肪なのです。

 


2.あなたはメタボ?
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(1)腹囲は?
  おへその高さの腹囲を測りましょう。
  よく間違われますが,腹囲はウエスト(くびれて一番細い所)ではありません。
  また,お腹にたくさん脂肪がたまり,垂れている人は図のように肋骨の最下部と骨盤の最上部の中間を測定します。
腹囲が,
  @ 男性:85cm 以上
  A 女性:90cm 以上
  の人は,内臓脂肪型肥満といいます。
  この内臓脂肪型肥満に加え,以下の(2)(3)(4)のうち2つ以上をあわせもった状態をメタボリックシンドロームといいます。また,これらの項目は危険因子といいます。

(2)脂質異常
 @ 中性脂肪値150ml/dl以上
 A HDL コレステロール値40mg/dl未満
  (いずれか,又は両方)

(3)高血糖
 @ 空腹時血糖値110mg/dl以上

(4)血圧高値
 @ 収縮期血圧130mmHg 以上
 A 拡張期血圧85mmHg 以上
  (いずれか,又は両方)
※ (2)(3)(4)は服薬治療中の人を含みます。
●診断基準(メタボリックシンドローム診断基準検討委員会2005年)

<参考>
危険因子が全くない人と比較して3つ以上危険因子がある人は心疾患や脳血管疾患を発症する危険が35.8倍高いという報告があります。

 


3.メタボ克服実践編!
   

   
 メタボに該当した人は今からでもメタボ脱出に向けて自分の生活を見直してできるところから何かやりましょう。そのためのヒントをご紹介します。
  まだ,メタボじゃない方も今後のメタボ予防のために,更なる健康レベルアップのために努力しましょう。
  内臓に溜まった脂肪を減らす! これが目標です。内臓脂肪は都合がいいことに代謝が早いのです。メタボは身体活動量の不足や過食など好ましくない生活習慣に原因があると考えられています。身体活動量の増加と食事の改善で内臓脂肪を減少させることができれば,心筋梗塞や脳卒中などのリスクを下げることが期待できます。しかし,身体活動不足や過食になればすぐに内臓脂肪がたまります。ということは,好ましい食生活や身体活動は継続することが必要なのです。

(1)身体活動量を増やす
  内臓脂肪を減らすための運動は何をしたらいいのでしょうか。
  運動で消費できるエネルギー量はあまり多くありません。運動による消費エネルギーよりも,運動習慣が身につくこと(身体活動量が増えること)によって基礎代謝が高くなることの方がとても意味があります。基礎代謝が高まることによって日常的に消費するエネルギー量が増えるのです。
  どうしたら生活の中に身体活動量を増やすかが重要なのです。以下にうまくいった例を紹介します。
<身体活動量増加の例>
@ 歩数計を1週間身につけて,歩数を記録する
A 次の1週間,今までより1000歩多く歩く
B 次の2週間,さらに1000歩増やして歩く
  以上,@からBへと簡易なことから段階的に量を増やして成功した例を示しました。

 成功したところで,「エスカレーターを使わないようにする」など,さらに身体活動量を増やすためのメニューを少しずつ増やしていきます。このように無理をしないで実践できることから始めて習慣化できるようにすることがポイントなのです。実行しようと決めたことをやり遂げたときの喜びを積み重ねながら,次第に身体活動量を少しずつ増やしていくのが成功の秘訣です。
  さて,メタボ克服のためには,身体活動量の目標はどれくらいにすればいいでしょうか。その目安としては「健康づくりのための運動指針2006」を参考にすると,以下のようになります。
  内臓脂肪蓄積の指標となる腹囲の1cm 減少は,約1kg の体重(大部分が脂肪)の減少に相当します。

腹囲1cm=体重1kg

 体重1kg を減少させるためには,身体活動によるエネルギー消費量の増加と食事改善によるエネルギー摂取量の減少を合わせて約7000kcalの減少が必要となります。30日かけて1cm 腹囲を減少させるためには,1日当たり約230kcalの消費(減少)が必要となります。ということは,ウォーキングだけで230kcalを消費するためには体重60kg の人でおよそ1万歩必要です。1日当たり230kcalを身体活動のみで消費させるのはかなり無理があるのではないでしょうか。いきなり1万歩のウォーキングを目標に実行するにはかなりハードルが高く,途中で挫折する危険が非常に高いと思われます。

  身体活動のみで体重を減少させるのに比べ,食事改善と合わせて行なった方が体重の減少がしやすく,内臓脂肪の減少量も大きくなります。実行するのにハードルも低くなり生活習慣化に向けて成功する可能性も高くなります。ウォーキング40分で約4800歩になります。230kcalの半分弱です。あとの120kcalを食事で減らすことを考えてみましょう。
  120kcal分の食事はどれくらいかというと,ジュース350mlあるいはビール300mlまたは焼き鳥ねぎま2本ぐらいです。ちなみに,今まで500ml缶を2本飲んでいたなら,350ml缶で2本にすると約120kcalを減らせます。

  参考までに「健康づくりのための運動指針2006」に紹介されている健康づくりのために目標とする身体活動量及び運動量の具体例B とメタボ克服のために必要な最低限の身体活動量の具体例A を示してみます。

<メタボ克服のための活動量の具体例A> <指針に示された目標身体活動量の具体例B>
身体活動内容
通勤(徒歩往復40分)
通勤(徒歩往復40分)
通勤(徒歩往復40分)
通勤(徒歩往復40分)
通勤(徒歩往復40分)
  身体活動及び運動内容
通勤(徒歩往復40分),昼の散歩20分
通勤(徒歩往復40分),昼の散歩20分
通勤(徒歩往復40分),バレーボール40分
通勤(徒歩往復40分),昼の散歩20分
通勤(徒歩往復40分),昼の散歩20分
犬の散歩20分,速歩30分
犬の散歩40分,子供と活発に遊ぶ30分

 当面の間はメタボ克服のための最低限の具体例A を参考にしていただき,これが習慣化出来たらさらにハードルを引き上げて指針に示された目標の身体活動量及び運動量の具体例B を目指すことをお勧めします。
  ちなみに,運動量と内臓脂肪減少との関係を示す文献より,食事摂取量を変えないまま30分間の速歩を週5回程度の運動量を増加させることにより,1ヶ月で1〜2%近くの内臓脂肪が減少することが期待されます。(速歩30分は普通歩行40分に相当)

(2)食事
  内臓脂肪がたまりやすい食事は脂っこいものや甘いものなどカロリーが高いものです。濃い味付けも食欲をそそり食べ過ぎにつながります。食べ過ぎを防ぐ上でも野菜を多く食べることは有効です。野菜に含まれる食物繊維は糖質や脂質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑える働きがあります。緑黄色野菜に含まれるビタミンC やβカロテンなどには抗酸化作用があり,動脈硬化を予防する働きがあります。
  食べ方も考える必要があります。早食いは食べ過ぎにつながります。よく噛んで食べることで満腹中枢が腹八分目のところで働き,食べ過ぎを防ぐことができます。その他,ドカ食い,ながら食い,ダラダラ食い,つまみ食いなど心当たりのある人は,この習慣を見直してみてはいかがでしょうか。夕食の時間が遅いとか夜食をとる習慣のある人も見直したいものです。
  その他,食事については気をつけることはありますが,あえて食生活を軌道修正するうえでポイントを絞って紹介します。
  たんぱく質を含む主菜(メインのおかず)の摂り方です。豆腐,納豆などの大豆食品を毎日摂っているでしょうか。もし,肉や魚などに偏っていたら大豆食品のことも思い出してください。大豆たんぱくを1日25g 以上摂取すると内臓脂肪が減少することがわかっています。
  また,心臓病の多い米国では「1日25g 以上」の大豆たんぱくの摂取は心臓病のリスクを減らす効果があるとして積極的な摂取を推奨しています。その他,血糖値,中性脂肪,HDL コレステロール,血圧などに関しても好影響があるようです。

  ちなみに,納豆40g では大豆たんぱく6g,豆腐1丁(300g)では大豆たんぱく18g あります。大豆たんぱくを1日25g 摂取するのは容易ではありません。大豆たんぱく1日12g(朝:納豆40g,夕食:豆腐1/3丁)は摂取できるのではないでしょうか。肉や魚に比べて忘れられやすい大豆食品も積極的に食べましょう。
  念のために,あくまでもたんぱく質についてポイントを絞って紹介しました。これだけ心掛ければいいということではありません。実践できるところからひとつでも自分の生活に取り入れて,徐々に健康的な食生活のレベルを高めていってください。
(参考:健康日本21推進フォーラム発行リーフレット「メタボリックシンドロームを防ぐ食事」)

(3)休養
  身体活動と食事を併用して内蔵脂肪を減らすことを紹介しましたが,休養に関しても参考になることを紹介します。 
 
@ 睡眠不足とメタボ
  短時間睡眠(4時間以下)と肥満や高血糖,高中性脂肪などと関係があるという報告があります。また,5時間眠る人は8時間眠る人に比べて,食欲を増すホルモンが増え,同時に食欲を抑えるホルモンが減っていたという報告もあります。睡眠時間が短いと余計に食べて太ることがいえそうです。メタボ予防や脱出のためには睡眠時間の長さは5,6時間以上が目安になりそうです。ただし,睡眠は量より質が大事ということも一方で言われ
ています。ぐっすりと眠れて,すっきりと目覚められるような質の高い睡眠を心がけましょう。

A 質の良い睡眠をとるために
ア) 体内時計をリセットする…朝,目覚めたら朝日を浴びる
イ) 寝る前に興奮しないようにする…カフェインを含む食品は避ける(コーヒー,日本茶,紅茶,ココア,チョコレート,コーラなど)
ウ) リラックスする…お風呂はぬるめのお湯でゆっくりはいる。また,ニコチンは眠りにくくする作用があります。
 
B 肥満がもたらす睡眠不足と労働災害
  肥満が主な原点の一つである睡眠時無呼吸症候群などにより十分な睡眠が得られず,睡眠不足状態になるといわれています。この睡眠時無呼吸症候群は日中に強い眠気におちいったり,集中力や判断力の低下を招いて,重大事故や労働災害を引き起こす危険性があるということで問題になっています。世界的に有名な事故では,スリーマイル島の原発事故やアラスカ沖のタンカー座礁事故,スペースシャトルの発射直後の爆発事故などがあります。これらの事故は睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害が原因の一つだと考えられています。日本でも新幹線のオーバーラン事故が話題になりました。トラックやクレーンなどの運転業務を行う人はプロとして睡眠不足にならないように心がけるべきであり,今まであげた症状が思いあたる人は早めに専門医の治療を受けることをおすすめします。

C ストレス
  人はストレスを感じると非常事態モード(戦うか逃げるかいつでも行動できるようにする)となるホルモンが出て,エネルギーの節約と蓄積を指令します。この時には満腹感を感じるホルモンが抑制されるので空腹感を感じやすくなります。特にすぐにエネルギーとして使える糖分が欲しくなります。このように,脳の伝令により糖分や脂肪分の多い食品を摂取するとストレスホルモンが低下する一方で脳内物質のドーパミンが刺激され気分がよくなります。このようにストレスと肥満の関係が説明されています。
  ストレスは動脈硬化や高血圧,狭心症などとの関連性も指摘されています。ストレスは過剰になると心身に対していろいろな影響が出てきます。ストレス過剰を感じたらそのストレスに対処することを心掛けましょう。呼吸法やストレッチング,自律訓練法などのリラクセーションがおすすめです。

D コミュニケーションでストレス軽減
  厚生労働省の調査によると,職場において強いストレスや不安を感じている人の割合は6割以上います。その原因で一番多いのが人間関係の問題です。コミュニケーションが少なくなってきた職場にメンタルヘルス不調者が増えてきたという調査報告もあります。ストレス対策としてはコミュニケーションをよくすることが大切だといわれています。クレーン操作と玉掛作業などのように作業現場においては共同作業を必要とする職場ではコミュニケーションはとても重要です。日ごろから仕事仲間とのコミュニケーションを心掛けることによって仕事の上でも自分自身のストレス軽減にも役立つと思われます。
  また,ストレスが軽減されることは肥満の改善,メタボ予防にも役立つと考えられます。

 


4.最後に
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 メタボ克服のためには内臓脂肪を減らすことがポイントです。そのためには,腹囲を減らすために適切な運動習慣と食生活を身につけることが必要です。そして休養の工夫(質の良い睡眠やストレス解消)も大切です。これらのポイントを参考にしていただき,放っておいたら日常生活に支障をきたし,あるいは死にいたる恐ろしい病気へとつながるメタボリックシンドロームから脱却していただきたいと願っています。
  以下の内臓脂肪減少シートを完成させ,あなたの腹囲を目標の腹囲にすることを目指し,これからの1日当たりの身体活動による消費カロリーと食事での制限カロリーを決めて是非実行してみてください。何事もやらなければ始まりません。
※内臓脂肪減少シート記入参考例
@ あなたの腹囲は? 86cm
A 当面目標とする腹囲は? 84cm
B 当面の目標達成までの期間は?
確実コース:86−84cm÷1cm/月=2ヶ月
C 目標達成まで減らさなければならないエネルギー量は?
2×7000kcal=14000kcal
14000kcal÷2ヶ月÷30日=233kcal
D そのエネルギー量はどのように減らしますか?
1日あたり減らすエネルギー量
233kcal…運動で120kcal
食事で113kcal

参考;普通歩行40分の消費カロリーは約120kcal(体重80kg)に相当します。


(中央労働災害防止協会 健康確保推進部 ヘルスケア・トレーナー 福島光彦)


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