クレーンの災害事例
CR00051
事  例

移動式クレーンが転倒し,ジブが被災者に激突

[原因と対策]
業  種 建築工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし 本災害は,軽量鉄骨造倉庫の建築工事現場において,移動式クレーンを用い母屋材を梁上につり上げようとしたところ,当該移動式クレーンが転倒しジブが被災者に激突したものである.
この工事は,鉄筋コンクリート造りの基礎上に支柱及び屋根の梁材を組立て,屋根の母屋材を取り付け,外壁,屋根を取り付けるものであるが,これらの部材ををつり上げるために使用する移動式クレーン(ジブ伸縮式ホイールクレーン,つり上げ荷重主巻25t,補巻3t)を災害発生の前日に現場に持ち込んだ.設置場所は,倉庫の基礎と基礎との
間に設けられた4m幅通路の転圧前の敷砂利上であり,アウトリガーは両側とも張り出さずタイヤのみが接地されている状態であった.
災害発生当日,予定していた5組の建て方を終了した後の作業予定では,使用した移動式クレーンを一旦,広場の所まで移動させて再設置し作業することになっていたが,玉掛作業者は,このままの位置から約18m離れた位置に置かれている母屋材をつり上げることができるかどうかをクレーン運転士に尋ねたところ,吊っても構わない旨の了承を得たため,母屋材計34本のうち17本(約230kg)をベルトスリングにより玉掛けした.このとき,被災者は玉掛補助者として当該玉掛作業を手伝っていた.
クレーン運転士は,玉掛作業者の合図に従って移動式クレーンをゆっくりと左方向に旋回させたところ,左側後輪が砂利に埋まり機体が左側に転倒し始めた.このとき転倒し始めた方向に玉掛作業者と被災者の2名がいたため,運転士は転倒を回避しようとしたが,被災者の待避する方向にジブが倒れ,ジブ先端が被災者の頭部に激突したものである.
なお,当該移動式クレーンの過負荷防止装置はアウトリガーが最大張り出しの状態で設定入力されていた.
 
 
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