クレーンの災害事例
CR01011
事  例

つり上げた荷の下で作業中,つっていた繊維ベルトが切断して荷の下敷き

[原因と対策]
業  種 機械器具製造業 機  種 テルハ
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 本災害は,コンクリートモルタル吹き付け機(以下「吹き付け機」という.)の分解点検・整備作業において,作業の最終段階として吐出口(コンクリートモルタルを噴出する部分)を吹き付け機の機体底部に取り付けるため,機体の片側に繊維ベルトを掛けて片づりの状態にして被災者がその下で作業をしていたところ,突然ベルトが切断し,吹き付け機が落下し,その下敷きとなったものである.
災害が発生した事業場は,建設機械の整備を行うものであり,建設現場から持ち込まれてくる建設機械を工場内において洗浄,分解点検,修理,部品交換等を行ったうえ,塗装・組み立てを行っていた.
災害発生当日は,工場に持ち込まれた吹き付け機の分解点検,部品及び潤滑油の交換,塗装,組み立て及び試運転をする予定であった.被災者と同僚の2人は朝礼の後,午前中は吹き付け機の分解点検及び各部品の塗装を行い,午後からはホースの配管等をし,操作盤を取り付けたうえで最後に吐出口の取り付けを行うこととなった.吹き付け機は小型の車輪が4箇所に取り付けられた走行式のもので,吐出口は機体の底部に位置しており,床上に停車させたままの状態で作業をするには車高が低く,作業性に困難をきたすため,機体の片側に繊維ベルトを掛け,テルハ(つり上げ荷重2.8t)により片づりの状態にして,その下に潜り込んで取り外し及び取り付けの作業を行っていた.
被災者と同僚は,いつものように吹き付け機の片側の2箇所にシャックルを取り付け,繊維ベルトのアイを連結して,ベルトを半掛けの状態で玉掛けし,テルハの巻き上げ操作により床上から約50cmの位置までつり上げ,吹き付け機の両側から手を伸ばしながら吐出口の取り外し作業を行った.午後からは,同僚が他の作業に取りかかったため,吐出口の取り付け作業は被災者1人で行うこととなった.吐出口を取り外すときと同様に繊維ベルトを吹き付け機の片側に掛けてつり上げ,その下に潜り込んで,吐出口の取付位置を確認しようとしたところ,突然,ベルトの片方のアイ部分が切断して吹き付け機が床面に落下し,被災者が下敷きとなったものである.
被災者は玉掛技能講習の修了者であり,クレーン運転特別教育修了者であった.
 
 
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