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あらまし |
本災害は,コンクリート打設用の型枠製作に必要な合板を移動式クレーンによりつり上げ,移動させていたところ,強風にあおられてつり荷の合板が落下し,付近で作業していた作業員がその下敷きとなったものである.
災害が発生した事業場は,橋桁の型枠組み立て,コンクリート打設,橋桁架設等を専門に行っており,災害発生当日は自社構内において自動車専用道路建設工事の橋桁架設工事に用いる型枠の製作を行うことになっていた.
被災者を含む5人の作業員は,午前中から型枠材に用いる圧縮合板を運んで型枠材を加工する作業を行っていた.午後になり作業員5人の中の職長が,圧縮合板の束を資材置き場から作業場所まで移動式クレーン(つり上げ荷重25トン,ホイールクレーン)により移動させる作業を行う旨他の作業員に指示した.圧縮合板(幅1000mm,長さ2000mm,厚さ10mm)は50枚が積み重ねられており,合板束の質量は600Kgであったが,ロープ等で緊縛されてはいなかった.
職長は被災者に対して,合板束はベルトスリングを用いて玉掛けすることを指示し,自らは移動式クレーンの運転操作を行うために運転室に向かった.被災者が長さ4mのベルトスリング2本を用いて50枚の圧縮合板を2本4点半掛けにして玉掛けし,巻き上げの合図を職長に送ると,職長は移動式クレーンの巻き上げ操作を行い,合板束をつり上げてつり荷を下ろす位置まで旋回させ,地上2mの高さに一旦停止した後,被災者につり荷の着地点に角材を設置するよう指示した.
被災者は角材を運んできて,つり荷の下に設置する作業をしていたが,折からの強風につり荷があおられて大きく揺れ,縛られていなかった合板束が崩れて地上に落下してきたため,その下敷きとなった.
移動式クレーンの運転を行った職長は移動式クレーン運転士免許を所有しておらず,被災者は玉掛技能講習を修了していなかった.
また,災害発生当日は午前中から強風が吹いており,最大風速は11m/sであった.
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