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あらまし |
本災害は,住宅地を造成する工事中に移動式クレーンを用いて足場材の移動を行っていたところ,移動式クレーンが転倒して運転者が投げ出されて,その下敷きになったものである.
災害が発生した作業現場は,山林斜面を掘削・盛土し,住宅地を造成する工事を行っており,被災者が所属する事業場は区画を区切るための擁壁(高さ約7メートル)の施工工事を請け負っていた.
災害発生当日は,前日までに掘削を終わっている斜面に足場を組み立てる作業を行うことになり,作業前の打ち合わせにおいて元請けの現場所長から作業施工上の指示を受けたが,さらに,移動式レーンの運転を行う被災者は同僚2名(玉掛け者,合図者)とともに所長から渡された移動式クレーン作業計画書に基づいて作業前の打ち合わせを行った.
被災者は,移動式クレーン(つり上げ荷重4.9トン)の運転の業務に従事し,午前中に長さ15メートル,高さ3層の足場を組み立てた.
昼食後,午後からの作業で組み立てるために必要な足場材料を運搬することになり,移動式クレーンの設置位置を移動させた.そのとき,足場材料は山側に置かれていたため,
山側のアウトリガーは最大張り出しにしてあったが谷側のアウトリガーはその場張り出し(全く張り出していない)状態であった.
足場の材料の移動作業が終わったため,被災者はフルブーム(全長21メートル)の状態になっていたブームを縮めながら谷側に旋回しようとしたところ,過負荷防止装置の旋回危険予報が作動したが,被災者はそのまま旋回を続け,アウトリガーの張り出し位置まできたとき,旋回危険警報に変わったため旋回を中止したももの,移動式クレーンは谷側に転倒し,被災者が転倒した移動式クレーンの下敷きになった.
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