JCA cr01081

あらまし

本災害は，資材置き場に設置されたテルハ（つり上げ荷重１ｔ）を用いて，駐車場の設置工事に使用する鉄板（縦・横各１.５ｍ，厚さ２３mm，質量約４００kg）をつり上げトラックに積み込む作業を行っていたところ，玉掛けワイヤロープが突然切断し，玉掛けをしていた被災者が落下してきた鉄板の下敷きとなった．
災害発生当日の作業は，玉掛け者とトラック運転者（テルハ運転）の２名で資材置き場に積み重ねてあった５枚の鉄板をトラックに積み込み，駐車場設置工事現場まで運搬することになっていた．鉄板には縁の部分に直径５０mmのつり穴が３箇所開けられており，これらの穴の一つに玉掛けワイヤロープを通し，ワイヤロープのアイをチェーンブロックのフックに掛けてつり上げていた．
２枚目までの鉄板の積み込みが終わり３枚目を荷台に降ろしたところ，鉄板の下端がトラックの荷台から後方にずれ落ちそうになったため，玉掛け者がテルハの運転者に巻き上げの指示をした．このとき運転者は操作を誤ってペンダントスイッチの「下げ」ボタンを押したため，鉄板がさらに少しずり落ちた．これに気付いた運転者は慌てて「上げ」ボタンを押し，鉄板が次第につり上げられてほぼ垂直の状態となったとき，突然ワイヤロープが切断して鉄板が倒れ，玉掛け者がその下敷きとなった．
トラックの荷台には，鉄板を降ろしやすくするように運転席側に角材を敷いて，その上に載せていたため，鉄板は約１２度傾斜しており後方にずれやすい状態となっていた．切断したワイヤロープは荷のつり上げに使用する玉掛け用ワイヤロープではなく，台付け用ワイヤロープで，腐食，形くずれ，素線の断線等があった．
また，玉掛け者は玉掛け技能講習を修了しておらず，テルハの運転者もクレーンの運転に係る資格を有していなかった．