JCA cr01101

あらまし

本災害は，鉄骨部材を天井クレーンにより積載形トラッククレーンの荷台に積み込む作業を行うため，部材の重心付近に専用のつりクランプを掛け，１点づりとしてつり上げ移動させていたところ，突然つり荷がクランプから外れて約２ｍの高さから落下し，クレーンの運転操作をしていた被災者がその下敷きとなったものである．
この事業場は鉄骨構造建築物の設計，製作，加工等を行うものであるが，災害発生当日は工場内で製作・加工された建築用鉄骨部材の搬出作業をすることとなり，被災者は積載形トラッククレーン（以下「トラック」という．）を運転して工場の出口付近に乗り入れ，工場内に設置されているホイスト式天井クレーン（つり上げ荷重２.８トン，床上操作で荷とともに移動する方式のもの）を使用してその建築用鉄骨部材をトラックの荷台に積み込む作業を行うよう職長から指示されていた．
トラックに積み込む建築用鉄骨部材は建築物の屋根と梁を接合するためにＨ型鋼を溶接加工したもので，長さが約５.５ｍ，質量は約４００kgであった．被災者は鉄骨部材の重心部にロック付のクランプ（使用荷重５００kg）を取り付け，玉掛け用ワイヤロープを介してホイスト式天井クレーンで荷をつり上げ，ペンダントスイッチを操作しながらトラックの方に移動させ，つり荷の方向をトラックの向きと一致するような状態に回転させようとしていたところ，突然つり荷がクランプから外れ，トラックのあおりを飛び越えて落下し，被災者がその下敷きとなった．
なお，使用していたクランプにはペンキ塗装がされており，鋼材を噛む歯の部分にも塗装がされていた．，なお，その歯の部分には摩耗が認められた．