クレーンの災害事例
CR05091
事 例
天井クレーンを用いて抜油・洗浄装置を解体作業中,門形台車フレームが倒れそれに飛ばされたクレーンのつり荷が作業者の頭部に激突する
業 種
製鋼圧延業
機 種
天井クレーン
被 災
死亡 1名
現 象
つり荷、つり具が激突
あらまし
本災害は,被災者と同僚二人が,天井クレーンを用い,検査を終えたPCB 廃棄物処理施設用抜油・予備洗浄装置を,発注先に納品するため,解体する作業中,ワイヤロープで転倒防止措置を講じていた門形台車フレーム(質量4t)がとつぜん倒れ,つり荷である継ぎ材(鋼材:質量300kg)に当たってそれを跳ね飛ばし,飛ばされたつり荷が被災者の頭部に激突したため,被災者が死亡したものである.
災害発生当日は,抜油・予備洗浄装置の解体作業の3日目であり,被災者と同僚は朝から解体作業に従事し午前中の作業を完了した.抜油・洗浄装置は,左右の門形台車フレームと両フレームを前後から継ぎ材ではさんで組み立てられていた.
昼休み後,左側門形台車フレームの解体を行って,引き続き前側の継ぎ材を取り外し,後側の継ぎ材の取外しに取り掛かった.後側の継ぎ材の取付けボルトを外し,継ぎ材を天井クレーンでつり上げ,左側に移動させたとき,右側の門形台車フレームが左側に向かってとつぜん倒れるとともに,その際に,つり上げ中の継ぎ材に当たった.そのため玉掛け用ワイヤロープが切れ,継ぎ材が飛ばされて,天井クレーンを操作していた被災者の頭部に当たった.被災者は病院に運ばれたが死亡した.
倒れた門形台車フレームの転倒防止には,玉掛け用ワイヤロープ1本を用い,その中央部を横桟のところで交差させ(半回転よじった状態),右側端は地上のレールに固定し,左側端はレバーブロックを繋いで地上のレールに固定していた.災害後もこのワイヤロープは破断していなかった.また,天井クレーンはペンダントスイッチで操作する方式のものであった.