クレーンの災害事例
CR05111
事  例

ホイールクレーンで架構デッキに足場材を搬入作業中,
つり荷が落下して作業者に激突する

[原因と対策]
業  種 土木工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 本災害は,化学工場のモノマー反応器エリアの一部の能力増強工事現場において,つり上げ荷重45.45t のホイールクレーンを用いて足場材を地上から2階の架構デッキ上に搬入する作業中,足場材が同デッキ上約20m の位置に来たとき,介添えロープが冷却タワー周辺の仮設足場に引っ掛かったため,つり荷が傾いて玉掛け用ワイヤロープから抜けて落下し,当時,現場責任者と二人で本工事の準備作業の下見のために同デッキ上を歩いていた被災者に激突したものである.
災害発生当日,午前中は,作業場の作業班6名は,現場の全体ミーティングに続いて一次下請けの工事責任者の主催するミーティングに参加し,この日の作業(足場材の搬入及び足場の組立て作業)を確認した後,現場において,立ち入り禁止区域を広げる作業を行った.その後,さらに同作業班とクレーン運転士のみで作業前のミーティングを行って作業方法を確認した.
午後は,同作業班6名のうち3名が補助ジブを取り付けたホイールクレーンを用いて足場材の搬入作業に従事した(運転士,搬入先の玉掛け外しと合図者および地上玉掛け者).残りの3名は2階架構デッキ上で足場の組立て作業を行った.
14時過ぎ,4回目の足場材の搬入作業として,長さ2m の鋼製足場板5枚,および長さ1.5m 単管パイプ10本を番線で結束し,ワイヤロープ2本を用いて目通しで玉掛けしてつり上げ,移動を開始した.
つり荷が最高地点である冷却タワーを過ぎて降下し,デッキ上の約20m のところに来たとき,合図者は2階架構デッキ上で足場の組立てを行っていた3名の同僚を,天井のある場所に退避させた.その後合図者がつり荷を確認したところ,つり荷に取り付けた介添えロープが冷却タワーの周辺の仮設足場に引っかかってつり荷が傾いていた.合図者は直ちに運転士に運転停止の合図を送ろうとしたが,間に合わず,つり荷の単管パイプが玉掛け用ワイヤロープをすり抜けて,約20m 下の2階架構デッキ上に落下した.丁度そのとき,現場責任者と二人で本工事の下見のため同架構デッキ上を歩いていた被災者に当たった.被災者は入院加療したが数日後に死亡した.
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