JCA cr06071

あらまし

　本災害は，鉄骨加工工場において，クレーン運転士がつり上げ荷重5.07t のホイスト式天井クレーンを用いてI 形鋼を作業台の端部に縦（I 型）に配置した後，当該クレーンを他の作業者に渡すために操作したところ，つりクランプが引っ掛かりI 形鋼が作業台から落下したため，I 形鋼に墨引きをしていた被災者が同I 形鋼と加工済みのI 形鋼との間に挟まれたものである．
　災害発生当日，被災者A は作業者B が加工するI 形鋼（I 形断面，高さ700mm，幅200mm，長さ9.19m）へのパイプ材の本溶接作業を応援するため，クレーン作業及び溶接作業に従事していた．
　11：00頃，B が本溶接したパイプの直径が間違っていることに気づき，一旦そのパイプを他の作業者に溶断してもらうため移動させた．しかし，A が溶断の前に本溶接を終わらせるように指示したため， B はI 形鋼を元の位置に戻し本溶接作業を行った．
　15：00頃，そのI 形鋼の本溶接が終了したため，A の指示で，鋼板縦つり用クランプ２個付きのチェーンスリングを用いて玉掛けし，B がクレーンを操作して，I 形鋼をつって移動させ，作業台（I 形鋼に台をつけた床からの高さ約500mm の台を加工材に直角に３本並べたもの）の端部に断面がI 型に立った状態でつり下ろした．その際，I 形鋼の転倒防止のための固定措置は講じていなかった．
　その後，クレーンを隣のレーンの作業者に渡すため，B が操作してクレーンを移動させようとしたところ，クレーンフックにつるしたつりクランプの先端がつり下ろしたばかりのI 形鋼に引っ掛かり，I 形鋼が作業台から落下した．そのため，I 形鋼への墨入れ作業（寸法線を引く作業）を行っていたA が，落下したI 形鋼と床の上にあった加工済みのI 形鋼との間に挟まれ死亡した．