クレーンの災害事例
CR06081
事 例
ワイヤロープ支持用の支柱が倒れゴンドラが傾いたために,壁面補修工事をしていた作業者が墜落する
業 種
その他の建設工事業
機 種
ゴンドラ
被 災
死亡 1名
現 象
その他の墜落
あらまし
本災害は,鉄筋コンクリート8階建ての集合住宅の壁面補修工事現場において,被災者が一人で屋上からつったゴンドラ(地上からの高さ約28m)に搭乗し壁面のはつり作業を行っていたところ,ゴンドラをつるためのワイヤロープを支える2つの突りょう(住宅屋上に設置したワイヤロープを支える金具)のうち一方が倒れ,ワイヤロープが突りょうから外れてゴンドラが傾いたため,被災者がゴンドラから地上に墜落したものである.
災害発生当日,被災者は建物壁面のはつり作業を行うため,同僚と共にゴンドラを設置した.
設置作業は建物屋上の端に突りょうを設置するものであったが,ゴンドラを設置しようとした場所が湾曲していたため,ワイヤロープの引っ張り方向と異なる向きに突りょうを設置することとした.さらに,ワイヤロープのつり下げ位置を両端で揃えるため湾曲部側の突りょうを他方に比べて長く張り出す必要があったため,背丈の高い突りょうを使用することとした.その結果,突りょうは接地部分の幅に比べ背丈が高い不安定な状態で常に横方向の偏荷重を受けることとなった.
ゴンドラ設置後,被災者は一人でゴンドラに乗り込みはつり作業を開始した.被災者が手持ち式グラインダーを使用して壁面のはつり作業を行っていたところ,作業の反動でゴンドラが振れた直後に,湾曲部側の突りょうが突然倒れワイヤロープが外れてしまった.このため,ゴンドラが湾曲部側に傾き被災者がゴンドラから地上に転落した.
なお,災害発生時にはゴンドラを支えるワイヤロープと平行して,安全帯用の親綱が設置されていたが,親綱に取り付けるロリップと安全帯を持参していたにも関わらず,被災者は安全帯を使用していなかった.