クレーンの災害事例
CR06091
事  例

半環状の鋼製ブロックをクレーンでつってボルト結合作業中に,ブロック全体がずれて支持台と開口部縁とに挟まれる

[原因と対策]
業  種 金属製品製造業 機  種 天井クレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり具、つり荷と床の物体による挟圧
 
あらまし  本災害は,金属製品製造工場において,被災者が同僚と二人でシールドマシン鋼製フレーム(外径6.75m,以下「フレーム」という.)のボルト結合作業中に,フレームの片側半分の半環ブロック(以下,「F2部品」という.)を無線操作式天井クレーン(つり上げ荷重40.7t)でつって,支持台上に置いたもう一方の半環ブロック(以下,「F1部品」という.)とボルト結合作業を行っていたところ,環状に結合されたフレーム全体が50cm ほど動いたため,つられた側のF2部品内の結合部近くでボルト取り付け作業中の被災者がブロック開口部縁と支持台との間に左大腿部を挟まれたものである.
 災害発生当日,被災者は同僚と二人でフレーム結合部の合わせ面加工を行い,その後,F1部品とF2 部品との結合作業に取り掛かった.まず,二人でF2部品に玉掛けして,同僚が天井クレーンの操作, 被災者が案内ロープでの誘導を担当して,先に合わせ面加工をして支持台に乗せていたF1部品のところに移動させた.次に合わせ面を接合させる位置でF2部品を停止させ,二人で2つの結合箇所をそれぞれ5本のリーマボルトで仮締めする作業を行った.
 ボルトによる本格的結合は北側と南側にある結合部のそれぞれに設けられた59個(リーマボルト5本分を含む)のボルト穴にボルトを差し込んでナットで固定するものであり,この作業を同僚は南側の結合部近くのF1部品内で,被災者は北側結合部近くのF1部品の下面開口部の中に立って行っていた.
 なお,無線操作式天井クレーンの操作は,リーマボルト仮締め作業中に位置合わせのために1回行っただけでその後は行っていないが,ボルト差込み作業中には,操作リモコンはキーを差し込んで操作可能な状態で同僚の右後方の腰の位置辺りに置かれていた.
 被災者がボルトを45本まで差込み,同僚が34本まで差し込んだとき,同僚が誤ってリモコンに手を触れてしまい天井クレーンが動いてしまった.このため,結合されたフレーム全体が突然東側に約50cm 移動し,被災者の左大腿部が開口部縁と支持台との間に挟まれた.
 
 
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