クレーンの災害事例
CR06111
事 例
土のうを移動式クレーンでつり上げ作業中,振れたつり荷に激突され荷台から墜落する
業 種
建設業
機 種
ホイールクレーン
被 災
死亡 1名
現 象
つり荷、つり具が激突
あらまし
本災害は,一般県道の橋梁整備工事現場において掘削作業で出た土砂を4t ダンプ(以下,「ダンプ」という.)に積み込むため,土のうに約0.5t の土砂を入れ,移動式クレーン(つり上げ荷重20t)を用いてダンプの荷台に積み込む作業中,土のうの逆さつり用の紐が外れて土砂がうまく荷台に出ないため,土のうを運転室の屋根の上に載せて巻上げ操作したところ,土のうがダンプ後方に振れ,荷台上で合図していた被災者に激突し,被災者が地上に墜落して死亡したものである.
災害発生当日,集水枡設置のためにドラグショベルで掘削した土砂をダンプに積み込んで搬出する作業を行っていた.この作業では,元々は掘削した土砂をコンクリートホッパーに入れて移動式クレーンでつり上げて,ダンプ荷台上でレバーを操作して排出する方法を採用していた.ところが,昼の休憩時にダンプの運転者である被災者から「土が湿っていてコンクリートホッパーから出にくい」との話があり,午後からは,コンクリートホッパーの代わりに土のうを使用することとなった.この土のうは直径1.04m,高さ1.07m の袋に,輪になった1本の紐を袋の底で十字に交差させて取っ手として取り付け,さらに底に逆さ吊り用の紐を付けたものである.
この土のうによるダンプへの土砂の積み込み作業の2回目に,ダンプの荷台に運ばれた土のうの取っ手から移動式クレーンのフックを外して底紐に掛け直してつり上げたところ,土のうが紐の取付け部付近から破れた.被災者はフックを,土のうの取っ手紐の底に近いところに掛け直し,再度つり上げたが土砂はうまく出なかった.そこで,被災者は,移動
式クレーン運転士の提案を受け容れ,土のうを吊り上げ,一旦,その口がダンプ後方に向くように横向きに運転室の屋根の上に下ろさせた.次にジブを少し起こさせてから,被災者はダンプの荷台の後部に移動して巻上げの合図を送った.運転士が指示通りに巻上げたところ,運転室の屋根から吊り上げられた土のうが振り子状にダンプ後方に向けて振れ,被災者に激突し,被災者は,高さ1.15m のダンプの荷台から墜落し,頭部を強打し被災したものである.