クレーンの災害事例
CR07011
事  例

ケーブルクレーンでつったワイヤもっこが急ブレーキで大きく振れ,搭乗していた作業員が地上に墜落する

[原因と対策]
業  種 土木工事業 機  種 その他のクレーン
被  災 死亡 2名 休業 1名 現  象 その他の墜落
 
あらまし  本災害は,砂防ダム建設工事現場において,被災者ら5名の作業員が作業現場から上方の事務所に戻るため,固定式ケーブルクレーン(つり上げ荷重1.4t)でつったワイヤもっこ(以下,「もっこ」という.)に搭乗して移動中,運転士が,もっこを主索付近まで巻き上げた直後,横行トロリが索道下方向に逸走したためブレーキを掛けたところ,もっこが下方に大きく振れ,2名が墜落し,続いてもっこが反対側に振れた際にもう1名が墜落し,最初の2名が死亡,他の1名が重傷を負ったものである.
 災害発生当日,工事現場では作業員6名により最も上流側の7番谷止めでのブロック積みの目地止め等の作業を行った.災害発生時(午後4時過ぎ)には,その目地止め作業が終了し,作業箇所から,約140m 上方の現場事務所に戻るに当たって,現場に設置されたケーブルクレーンにつり下げたもっこ(底にパレットが敷かれている)に搭乗することとし,先に徒歩で現場事務所に戻った作業員F がケーブルクレーンの運転を,作業員C が無線での合図を担当した.運転士は,7番谷止めの下側位置に同もっこを移動させて地上に下ろし,作業員5名が搭乗した後,作業員C の合図で巻上げ操作を行った. もっこが地上から約10m の高さに達したところで,横行トロリが下流方向に逸走を始めたので,横行エンドレスウインチドラムが回転していることに気づいた運転士が急ブレーキを掛けたところ,もっこが下流側に大きく振れ,もっこの下流側に搭乗していた作業員A 及びB が15m 下の地面に墜落し,反動でもっこが上流側に振れた際に上流側に搭乗していた作業員C が4m 下の地面に振り落とされた.作業員A 及びB は死亡,作業員C が重傷を負った.残りの作業員2名はもっこに垂れ下がっていたロープを伝って自力で地上に降り無事であった.なお,当該ケーブルクレーンは設置報告書が提出されておらず,常時定格荷重がわかるような表示もされていなかった.また現場事務所と作業場所までの作業通路は確保されていた.
 
 
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