クレーンの災害事例
CR07051
事 例
天井クレーンでドラグショベルの後部をつり上げたところ,ショベルが横転し,搭乗していた運転者が被災する
業 種
金属製品解体業
機 種
天井クレーン
被 災
死亡 1名
現 象
つり荷、つり具が激突
あらまし
本災害は,プラズマ切断した残滓(以下「ノロ」という.)を除去するため,床上操作式天井クレーン(つり上げ荷重10.2t)を用い,機体質量4.04t のドラグショベルを高さ60cm の台座の上に乗せる作業中,ドラグショベルの後部をつり上げたところ,ドラグショベルが横転し,運転席から飛び降りた被災者が同ドラグショベルに胸部を挟まれ死亡したものである.
災害発生当日,被災者A と共同作業者B の2人は,朝から金属製品解体工場において,ドラグショベルを用い,プラズマ切断によって台座上に塊状となって残されたノロの解体・搬出作業を予定していた.午前8時ごろ,トラックに載せて搬入したドラグショベルを工事の天井クレーンを用いてつり下ろし,A が運転して台座の近くに移動させ,台座上のノロの除去作業を開始した.ある程度作業が進んだ段階で,ドラグショベルのバケットが台座の奥の方まで届かなくなったため,ドラグショベルを台座の上に移動させることにした.
まずアームを前方に伸ばしてからバケットを下ろして台座に接触させ,そこをドラグショベルを支える支点の一つとした.次にB が後方にある排土板の左右両端にある二つのつり手にシャックルを介して1本の玉掛け用ワイヤロープを掛け,その中央部をクレーンのフックに玉掛けし,クレーンで台座と同じ高さまでつり上げた.この状態で,ドラグショベルの運転席に乗っていたA がアームを縮める操作をしようとしたとき,ドラグショベルが左に大きく傾いたため,被災者は飛び降りて逃げようとしたが間に合わず,横転したドラグショベルの下敷きとなったものである.
なお,B は玉掛け技能講習は修了していたが,床上操作式クレーン運転技能講習については修了していなかった.