クレーンの災害事例
CR07071
事  例

移動式クレーンのジブ先端から仮のワイヤロープ止めが落下し,作業者の頭部に激突する

[原因と対策]
業  種 その他の建設業 機  種 クローラクレーン
被  災 死亡1名 現  象 その他の落下
 
あらまし  本災害は,河川防災工事現場における作業場の敷鉄板作業中の死亡災害である.
  被災者は同僚3名と共に移動式クレーンを用いて敷鉄板の玉掛け作業を行っていたところ,同クレーンのジブ先端部(高さ約27m)に取り残されていた質量約10kg のワイヤロープをジブに仮固定しておくための金具(以下 ワイヤロープ止め」という.)が落下し,被災者の頭部を直撃したものである.
  災害発生当日,被災者A,移動式クレーン運転者B,共同作業者2名の4名は,当該現場において,(1)トレーラーで搬入される移動式クレーンの組立て,(2)不足分の敷鉄板の敷詰め,及び(3)鋼矢板の打込み作業,を予定していた.9時過ぎに到着したトレーラーから移動式クレーンを降ろし,(1)の作業として,中間ジブを継ぎ足したあと,10時半ごろから(2)の作業として,B が移動式クレーンを操作してジブを75度に起こし,仮置きしていた4枚の敷鉄板の上にフックを移動させた.次いで,A が1枚の敷鉄板に玉掛けし,A の合図で,B が地切り操作を行ったところ,地上約27m の位置からワイヤロープ止めが落下し,A の頭部を直撃した.
  なお,このワイヤロープ止めは移動式クレーンをトレーラーで搬送するときのみ使用され,トレーラーの背もたれ部分でワイヤロープが損傷しないようにワイヤロープを持ち上げて引っ掛けておくためのものであり,取付けはクレーンのジブにただ載せるだけで特に固定されていなかった.本件の場合,同クレーンが現場に搬入されて組立てられる間に,B がA に対してワイヤロープ止めの取外しを指示していたにもかかわらず,A がそのことを忘れてしまったものである.さらに,B も指示しただけで取外しの確認をしなかったため,ジブの上部に取り残されたままとなっていた.
 
 
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