クレーンの災害事例
CR07101
事 例
移動式クレーンで中央を持ち上げた鉄骨はりが仮止め溶接部で破断して跳ね上がり,その衝撃ではしごから墜落する
業 種
機械装置の組立て又は据え付け業
機 種
ホイールクレーン
被 災
死亡 1名
現 象
その他の墜落
あらまし
本災害は,鉄骨造り2階建て建屋の鉄骨建て方作業中,予め組み立てていた鉄骨はりの下に間柱2本を建て込むに際して,移動式クレーン(つり上げ荷重25t)を用いてはり中央部を多少持ち上げるために,被災者がそのはりに掛けたはしごを上り,ベルトスリングをはりに掛け,移動式クレーンオペレーターに合図して巻上げ操作させたところ,はりと柱の仮溶接部が破断してはりが跳ね上がり,その衝撃ではしごの上部にいた被災者が墜落したものである。
災害発生当日,同鉄骨立て方工事現場では,午前中は被災者(以下「A」という。)を含む3名で間柱設置の準備作業を行い,午後はA と上司(以下「B」という。)の二人で間柱の建て方作業を行った。
まず,間柱を設置位置に立てるため,A が間柱の吊りピースにベルトスリングで玉掛けして移動式クレーンのオペレーターに合図し,間柱を垂直に吊って設置位置の近くに移動させた。この状態で,A がはしごを上って間柱の上部を支え,B は地上でその下部を保持して間柱を基礎とはりの間にはめ込もうとした。しかし,そのままで間柱がはりの下に入らないため,A の判断で移動式クレーンによってはりを少し持ち上げることとした。A がはしごの上でベルトスリングを間柱の吊りピースからはりに掛け替え,オペレーターに合図して巻上げ操作をさせたところ,その直後に破裂音がしてはりが跳ね上がり,その衝撃で,B が支えていた間柱及びはしごが同時に倒れたため,はしごの上部に乗っていたA が地面まで墜落した。
なお,この作業では,被災者はヘルメットをかぶっていたがあご紐は締めておらず,さらに,安全帯はその取付け設備も無く着用もしていなかった。また,間柱を取り付けようとしていたはりは,中央寄りの端部を中間の柱と溶接で仮止めされていたが,その溶接部が破断したものである。