クレーンの災害事例
CR08021
事  例

移動式クレーンで合板を建屋に搬入中,つり荷が荷崩れを起こしはずみで労働者が作業台から墜落する

[原因と対策]
業  種 家屋建築工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡1名 現  象 つり荷に押されて墜落
 
あらまし

 本災害は,木造家屋新築工事現場において,現場責任者A,作業者B,C,D および移動式クレーン運転士E の5人で,合板40枚を高さ3.6m の作業台に荷揚げする作業中に,つり荷が荷崩れを起こし,その拍子につり荷のそばにいた被災者B が作業台から墜落,死亡した災害である。
  災害発生当日,同新築工事現場では,25t の移動式クレーンを用い,①はりの取り付け作業,②作業台の取り付け作業及び③作業台への材料の荷揚げ作業を予定していた。
  午前10時過ぎに作業①及び②を終了させ,続いて,建屋内部の吹き抜け部分に設置した作業台に2階部分の材料を上げる③の作業を開始した。この作業では,最初に角材約60本の荷揚げ作業を終了させ,次に,地上に置かれていた合板(コンパネ:910×1820mm,厚さ12mm,質量約13kg)40枚を荷揚げする作業に取りかかった。現場責任者A 及び作業者D が40枚の結束されていない合板に,2本のベルトスリング(長さ4.87m 及び4.77m)で玉掛けし,A が移動式クレーン運転士E に合図して地切り作業を行った。このときA 及びE は二人ともつり荷が傾いていることに気付いていたが,A が問題ないと判断して巻上げを指示したため,E はそれに従って巻上げ操作を行い,つり荷を作業台の上に移動させた。
  作業台の上では,作業員B,C の2人が待機していたが,つり荷が移動してきたため,両者がつり荷の支持・誘導のためにつり荷に近づいたところ,突然2,3枚の合板がB の方向に飛び出し,つづいて残りの合板も崩壊した。そのため,被災者B は後方にしりもちをつくような状態で倒れ,そのまま作業台から約3.6m 下のコンクリート床面に墜落した。
  また,この作業では,現場責任者A,作業者C,D は玉掛けの法定資格を有しておらず,作業台には手すり等の墜落防止の措置は施されていなかった。さらに,被災者はヘルメットをかぶっていたが,安全帯は着用していなかった。

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