クレーンの災害事例
CR08061
事 例
転倒した移動式クレーンと丸太の山に運転者が挟まれる
業 種
木造住宅建築工事業
機 種
積載形トラッククレーン
被 災
死亡 1名
現 象
機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
あらまし
本災害は,移動式クレーンを用いた丸太の荷降し作業において,移動式クレーンが転倒し,運転者が移動式クレーンと材木置場の丸太の山との間に挟まれ死亡したものである。
災害発生当日,被災者と同僚の2人で丸太の伐採現場から運搬してきた丸太を,移動式クレーン(積載形トラッククレーン,つり上げ荷重2.93t)から荷降しすることとなった。被災者が移動式クレーンの操作を行い,同僚が玉掛けを行った。
まず,1本目の丸太を1点つりで玉掛けし,材木置場に置いてある4,5本の丸太の山の上に降した。次いで,2本目の丸太も同様に玉掛けし,ジブを起こして旋回させ,1本目の丸太のさらに遠方に降すためジブを伸ばしていったところ,移動式クレーンがつり荷側に転倒し,約40°傾いて停止した。この際,被災者は移動式クレーンの前方に逃げようとしたが間に合わず,丸太の山と運転席との間に挟まれた。
災害発生時の作業半径は約4.7m でその場合の定格荷重は0.89t であるのに対して,実際の丸太の質量は約2.07t であり,明らかに過負荷状態であった。
また,被災者は小型移動式クレーン運転技能講習修了など,作業に必要な資格を有しておらず,玉掛けを担当した同僚も玉掛け技能講習修了などの資格を有していなかった。
なお,本件事業場は通常は木材住宅の建築業を行っており,本件の丸太の搬送作業は,荒天による倒木を避けるため樹木の伐採を地主に依頼され請負ったためで,担当者らにとっては約2年ぶりの稀な作業であった。