クレーンの災害事例
CR09111
事 例
橋形クレーンでコンクリート製合成床板をトラックに積込み中,荷が振れ被災者の顔面に激突する
業 種
コンクリート製品製造業
機 種
橋形クレーン
被 災
死亡 1名
現 象
つり荷、つり具が激突
あらまし
本災害は,コンクリート製品製造工場の屋外ストックヤードにおいて,被災者と同僚の2名で,橋形クレーンを使用して,コンクリート製合成床板をトラックに積込む作業中,つり荷が振れて被災者の顔面に激突し,さらに被災者の頭部がつり荷と後方に積まれていた合板との間に挟まれ,死亡したものである。
災害発生当日,被災者と同僚は午前8時に同工場内の朝礼に参加し,その後屋外の製品ヤードにて,2台の橋形クレーンのうち東側にある1号機(つり上げ荷重7.58t)を使用して,合成床板(1.8m×2.98m×厚さ13cm,質量1.4t)を3台のトラックに積込む作業に取りかかった。1台目のトラックへの合成床板6枚の積込みを終え,引き続き2台目のトラックへの合成床板の積込みを開始した。午前11時40分ごろ,8枚目の合成床板を積込むため,被災者が合成床板4枚の最上段の1枚の4箇所のアンカーに専用の玉掛け用具の4個のフックを掛けて4点つり状態で玉掛けした後,そのつり荷の北側の位置でクレーン運転用のコントローラーを操作してフックを巻き上げた。地切りしたつり荷が被災者側に振れ,被災者はかがみこんで避けようとしたが避けきれず,荷が被災者の顔面に激突し,それと同時に被災者の頭部がつり荷と背後に積まれていた合成床板(つり上げた荷が積まれていたものとは別のもの)との間に挟まれた。被災者は病院に搬送されたが,数日後に死亡した。
なお,被災者は玉掛け作業に関しては技能講習を修了し資格を有していたが,クレーン運転については,床上操作式クレーン運転技能講習は受けているものの,クレーン運転士免許は取得していなかった。(本災害に係るクレーンは床上運転式クレーンに該当し,その運転には,クレーン,デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定を含む。)が必要となる。)一方,玉掛け用具,玉掛けの方法及び服装(ヘルメットおよび安全靴を着用)についても特に不適切な点はなく,健康状態及び当日の天候についても特に本災害の原因となるものは認められなかった。