クレーンの災害事例
CR10021
事 例
エレベーターの昇降路と搬器の間に挟まった荷を外す作業中,搬器内に転落,さらに搬器とともに落下する
業 種
木製家具製造業
機 種
エレベーター
被 災
死亡1名
現 象
搬器と共に墜落
あらまし
本災害は,木製家具製造工場において,屋上にある資材置き場からエレベーターを使って建具用の資材を1階の作業場へ運搬する作業中,被災者は,エレベーターに載せた角材がエレベーターの昇降路と搬器の間に挟まって,搬器が2階と屋上の中間で止まっているのに気付いた。そのため,被災者が屋上に戻り,挟まった角材を引抜いたところ,搬器が落下,その際,被災者が搬器内に転落したため,被災者は搬器とともに1階まで落下して頭部を強打し死亡したものである。
災害発生当日,被災者は午後の作業として,一人で,2階建ての同木製家具製造工場の屋上資材置き場から1階の作業場まで,エレベーターを使用して建具用の資材を運搬する作業に従事していた。その作業で,被災者は,午後1時40分頃,屋上でエレベーターに角材47本を積んで1階まで下ろすため,エレベーターの操作スイッチを押し,自分は階段を歩いて降りた。ところが被災者が2階に下りたところで,エレベーターの搬器が2階と屋上の間で停止しているのに気付き,慌てて屋上に戻った。搬器が停止したのは搬器と昇降路の間に荷物である角材が挟まったためであったので,被災者は昇降路の扉を開けて昇降路に入り,搬器天井部分に乗って挟まっていた木材を引抜いた。ところが搬器を支えるホイストのワイヤロープが弛んでいたため,その瞬間に搬器が落下し,落下の途中で緊張したワイヤロープが衝撃により破断した。その際に,被災者が誤って搬器内に転落したため,被災者は搬器とともに1階まで落下して頭頂部を強打して死亡した。
なお,破断したワイヤロープの長さから判断して,ワイヤロープは搬器が屋上と2階の間(1階床から搬器の底まで約2.4m の位置)で停止するはずの長さまで緩んでいたと推定される。
また,本エレベーターの搬器には積下ろし口に戸が設けられておらず,エレベーター構造規格の要件を満足していない上,搬器が動いているときには戸が開けられないように安全装置が設置されていたにもかかわらず,事故当時にはその安全装置が紐で固定され無効化されていた。