クレーンの災害事例
CR10111
事 例
積載形トラッククレーンの荷台に積んだユニットハウス上で玉掛け作業中,地上に墜落して死亡
業 種
陸上貨物取扱業
機 種
積載形トラッククレーン
被 災
死亡 1名
現 象
機体から墜落
あらまし
本災害は,ユニットハウスのリース会社の構内において,被災者が一人で,つり上げ荷重2.9tの車輌積載形トラッククレーン(以下,「トラッククレーン」という。)を用いて,ユニットハウスを,荷下ろしするため,ユニットハウスの屋根に上がって玉掛け作業を行おうとしていたところ,誤って約4m下の地面に墜落し,頭部打撲により死亡したものである。
災害発生当日,被災者Aは,本人が所属する運送会社において,午後3時半ごろまで,同僚と二人でダンプカーの修理等を行っていた。修理等の作業終了後,リース品回収の依頼に応じて被災者は一人でトラッククレーンを運転し,リースされていたユニットハウス及びユニットトイレを工事現場で回収して,運送依頼主であるユニットハウスのリース会社まで搬送した。午後4時半ごろに同リース会社に到着してから,まず,ユニットトイレを集積場所に下ろし,その後,ユニットハウスを下ろす場所に移動し,一人でトラッククレーンの荷台からの荷下ろし作業を開始した。ところが,同作業を開始してから約10分後,現場にいたリース会社の労働者Bが被災者の運転するクレーンが動いていないことに気付き,クレーンが故障したものと思い作業場所に近づいたところ,同トラッククレーンの横で,頭部から血を流して倒れている被災者を発見した。被災者はすぐに病院へ運ばれたが,脳挫傷のため間もなく死亡した。
本件の災害発生状況を目撃した者はいなかったが,ユニットハウスにははしごが立て掛けられ,ユニットハウスの屋根の上には無線式の操作スイッチが置かれたままで,玉掛け用具がクレーンフックに掛けられた状態であったこと,クレーンのジブの角度は約10度と低く,ジブ先端はユニットハウスの屋根のほぼ中央に位置していたこと,ユニットハウスの屋根のジブ先端位置の端部(被災者が倒れていた場所の上の位置)に後ろ向きの被災者の足跡が残されていたことなどから判断して,被災者は,ユニットハウスの屋根の上で玉掛け作業を行おうとしていたところ,何らかの原因でバランスを崩してしまい,地上に墜落したものと推測される。
なお,災害発生時には日没から既に約30分が経過しており,現場は薄暗かったため,トラッククレーンの荷台の前方に取り付けられた作業灯の明かりで作業が行われていた。また,同トラッククレーンには保護帽(墜落時保護用ではない)が備え付けてあったが,被災者はそれを着用していなかった。