クレーンの災害事例
CR10121
事  例

積載形トラッククレーンの荷台から乗用車をつり下ろす作業中,クレーンが転倒し下敷きとなる

[原因と対策]
業  種 卸売業・小売業 機  種 積載形トラッククレーン
被  災 死亡 1名 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし  本災害は,中古自動車の販売及び解体等を行う事業場において,つり上げ荷重2.93tの車輌積載形トラッククレーン(以下,「移動式クレーン」という。)を用いて大型乗用車を荷下ろしする作業中,当該移動式クレーンが被災者側に横転し,被災者がその下敷きとなって死亡したものである。
 災害発生当日,被災者は,8時半ごろ出勤した後,二日前に移動式クレーンで搬入し,荷台に乗せたままとなっていた外国製の大型乗用車を荷下ろしする作業に取り掛かった。まず,同移動式クレーンの荷台に上がり,直径9mm,長さ4mの玉掛け用ワイヤロープ一本を,左右のドアそれぞれから出る形で乗用車の車内に通し,天井フレーム部をつる形で,両端アイをクレーンフックに掛けて玉掛けした。次に被災者は,地上に降りて移動式クレーンの左側にある操作レバーを操作し,つり荷をつり上げ,その後,右旋回の操作を行った。ところが,その旋回操作の途中,移動式クレーンが被災者側(移動式クレーンの左側)に横転し,被災者は横転した移動式クレーンの下敷きとなった。
 なお,災害発生時の移動式クレーンのクレーン部の状況は,ブーム長さは約5.5m,ブーム角度は約58度,作業半径は約2.8mと推定され,これらの数値から,定格荷重は約1.05tと計算された。これに対し,つり荷の乗用車の質量は2t以上と推定され,明らかに過荷重状態であったと判断される。左右に1脚ずつ備えられたアウトリガーの張り出し状況は,両方とも最小張り出しであった。また,保護帽を使用していたが,災害発生時に飛ばされていた。さらに,被災者はクレーン運転及び玉掛け作業に関する資格を有していなかった。
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