クレーンの災害事例
CR11031
事 例
ゴンドラのつり上げワイヤロープが外れて搬器が傾き墜落して死亡
業 種
その他の建築事業
機 種
ゴンドラ
被 災
死亡 1名
現 象
作業床等から墜落
あらまし
本災害は,ビルの外壁補修工事において,8階屋上からつり下げたゴンドラ(可搬電動式デッキ型,積載荷重200kg)を使用しビル外壁を塗装する作業中,ゴンドラの搬器の2本のつり上げワイヤロープのうちの1本が接続不十分のため外れて搬器が傾き,搬器に乗っていた作業員が地上に墜落して死亡したものである。
災害発生当日,当該工事現場では,6名の作業員が2名一組となり,被災者を含む内2組はそれぞれのゴンドラでの塗装作業,残りの1組はゴンドラなしでの塔屋の塗装作業を行っていた。被災者は,午前中から行っていた作業が完了したため,午後2時ごろから,南面東側の外壁を塗装することになり,職長と共同作業者の3名で,ゴンドラを東側に設置位置を変更する作業を行った。まず,6階東側屋上テラス上に下ろしていたゴンドラ搬器のつり上げワイヤロープを緩め,午前中の作業のために設置していた突りょう及び養生板を取り外して新しい設置位置に取り付けた。次に,屋上躯体のH鋼に取り付けてあった台付けワイヤロープ2本及び台付けワイヤロープと接続されていたつり上げ用ワイヤロープ2本を取り外した。その後,同H鋼の新しい設置位置に台付けワイヤロープを取り付け,その端末にシャックルを介してつり上げワイヤロープを接続し,最後に連結したつり上げワイヤロープ2本をそれぞれの突りょうに載せた。このときのワイヤロープ同士の接続については,ゴンドラ北側を職長と共同作業員が,同南側については被災者と共同作業員とが実施した。ワイヤロープの位置を変更した後,職長と被災者は6階テラスに降り,ゴンドラのモーターを動かし,つり上げワイヤロープを張り,共同作業員は8階屋上にて突りょうなどの状況を確認した。その後,3人にてゴンドラの搬器を持ち上げ,空中に浮かして新しい作業位置に降ろした。その後,3人の作業者は別のゴンドラの設置位置変更作業を行って,3時から全員地上にて休憩した。
休憩後,被災者と共同作業員は6階東側屋上テラスに向かい,まず被災者が既設の手すりに安全帯を取りつけ,笠木上に移動した。次いで,共同作業員が搬器を押さえた状態で,被災者が搬器に乗り込み,手すりから安全帯を外して親綱のロリップに取り付けようとしていたところ,突然,ゴンドラのつり上げワイヤロープ1本(南側)が外れ,搬器が急に傾いたため,被災者は地上に墜落した。救急車にて病院に搬送されたものの,脳挫傷による即死の状態であった。