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あらまし

　本災害は，林道災害復旧工事用のコンクリートブロックを積載形トラッククレーンを用いてつり上げ，4tトラックの荷台に載せるため右旋回させていたところ，トラッククレーンが傾き，操作していた被災者が，アウトリガーと地上に置かれていた別のコンクリートブロックとの間に挟まれ死亡したものである。
　災害発生当日，被災者A及び現場指揮者Bの二人は，本社事務所で，他の社員と一緒に体操を行った後，Aが積載形トラッククレーン（以下「トラッククレーン」という。），Bが4tトラックを運転し，作業現場（資材置き場）に８時前に到着した。現場では，前日に引き続き，コンクリートブロック（1m×1m×1m，質量約1.9t）を運搬する作業を行うこととしていた。そのため，現場到着後直ちに，トラッククレーンを，コンクリートブロックの脇に前向きに，両側のアウトリガーを全張り出し状態にして配置し，その左側に後ろ向きに，4tトラックを停車させた。同現場では，コンクリートブロックへの玉掛け作業はBが，トラッククレーンの操作はAが担当した。まず，トラッククレーンの右前方に置かれていた１個目のコンクリートブロックをトラッククレーンの荷台に積み込み，さらに一番遠くに置かれていた２個目のコンクリートブロックを4tトラックに積み込むため，つり上げたところ，トラッククレーンが傾いた。そこで，一旦，そのコンクリートブロックを下ろし，トラッククレーンの転倒を防止するために，より近くに置かれていた別のコンクリートブロック２個を一つづつつり上げて同トラッククレーンの荷台に積み込んだ。その後，２番目につり上げようとして中断した２個目（一番遠くに置かれた）のコンクリートブロックを再度つり上げたところ，今度はトラッククレーンが傾かなかったので，トラッククレーンの左に停めた4tトラックに積み込むためジブを右旋回させたところ，つり荷がほぼ真横に来たところで，トラッククレーンが右側に傾いたため，同クレーンを操作していた被災者Aがアウトリガーと近くに残されていたコンクリートブロックとの間に胸部を挟まれ被災した。
　なお，本件作業において，現場指揮者Bは玉掛け作業者の資格を有していたが，被災者Aは移動式クレーンの運転に係る資格は持っていなかった。