クレーンの災害事例
CR11051
事 例
クレーンガーダの点検歩道で窓ガラスを清掃中,建物梁とガーダ上に設置された抵抗器との間に挟まれる
業 種
一般機械器具製造業
機 種
天井クレーン
被 災
死亡 1名
現 象
機体に接触して挟圧
あらまし
本災害は,工場において,床上操作式天井クレーン(つり上げ荷重10.2t)のガーダの点検歩道上で竹箒を用いて窓のごみ払い作業を行っていたところ,ガーダ上に設置された抵抗器と,工場建物の一部である梁(方づえ)との間に挟まれ死亡したものである。
災害発生当日,同工場では,午前中及び午後の前半は,溶接作業を行い,午後3時頃から,作業場所の整理・整頓・清掃などを行う5S運動を実施することとなっていた。被災者の所属する溶接チームの労働者5名は,午後3時から約10分の休憩を取った後,5S運動として,工場の窓のくもの巣払い・ごみ払い作業に取り掛かった。この作業は,床から届く窓については床上で2名の作業者が竹箒を用いて行い,高さ約7.5mの位置にある上部窓については工場に設置されている床上操作式天井クレーン(つり上げ荷重10.2t)のガーダ上に被災者を含む3名が乗り,二本を.いで延長した竹箒で,窓のくもの巣やごみを落とす方法で実施することとなっていた。しかし,1名の搭乗が遅れ,災害発生時には,クレーンガーダ上での作業は被災者と同僚1名の2名のみで行っていた。この作業を西側壁の一番南側の窓から開始し,一つの窓の掃除が終わるごとに,クレーンガーダを次の窓の位置に移動させて行っていたが,2番目の窓の清掃を終え,次の窓を掃除するため同僚の肉声による合図に従って床上で作業を行っていた者がクレーンを北側に移動させた。その時,ちょうどクレーンガーダの点検歩道上に設置された抵抗器横のサドルの上に,クレーンの進行方向に対して後ろ向きに(南方向を向いて)立っていた被災者が,接近してきた斜め構造の建物梁(方づえ)に気付かず,この方づえとガーダ上の抵抗器とに胸部を挟まれ,ほぼ即死状態であった。
なお,同工場では,クレーン操作は全員が必要に応じて行っており,特定の操作者は定めていなかったが,災害発生時にクレーンを操作していた作業者はクレーンの運転に関する資格は有していなかった。