クレーンの災害事例
CR12011
事 例
コンテナをつり上げた状態で起伏させたトラッククレーンのジブが突然倒れ,落下したコンテナの下敷きとなる
業 種
貨物取扱事業
機 種
トラッククレーン
被 災
死亡 1名
現 象
つり荷の落下
あらまし
本災害は,つり上げ荷重80トンのトラッククレーンを使用して,岸壁に接岸した貨物船内から質量約24トンのコンテナをつり上げたところ,突然ジブが倒れ,つり上げていたコンテナが船内に落下し,下で作業をしていた被災者がその下敷きとなったものである。
本作業に従事していた作業者は,クレーン運転士 A,船内荷役作業主任者 B,船内作業者が被災者 Cと同僚3名の4名,岸壁作業者が5名,計11名である。被災者は主に船内でコンテナを船に固定している「スタッカー」の取外し作業や,ワイヤロープの取外しといった補助作業を行っていた。
災害発生当日,前日までに49個のコンテナのうち33個の荷上げを終えていたので,残りのコンテナを上げるため,船内荷役作業主任者 Bの指示を受けたクレーン運転士 Aは荷役用具の「スプレッダー」をコンテナ上に降ろしコンテナと固定した。 Bはコンテナをつり上げる準備ができたこと及び船内作業者が退避したことを確認した後, Aにコンテナをつり上げるよう合図した。 Aは,合図に従ってコンテナを地切りしたところ,過負荷防止装置の警報が鳴っていたが,作業半径を小さくするためジブを起こし,別のコンテナを避けるため左旋回し,巻上げさらにジブ起こしをした。その時,突然ジブが倒れコンテナが船内に落下し,被災者がその下敷きとなった。
なお,災害発生直前に他のコンテナの横に一旦退避していた被災者は,コンテナがつり上がると同時に次のコンテナの固定を外す作業のため船首側に移動したために,落下してきたコンテナの下敷きになったものと考えられる。
災害発生後,ジブ起伏ブレーキの役割りを果たすプラネタリクラッチを分解したところ,クラッチバンドが破断していることが確認された。また,本クレーンは製造されてから約20年間経過していたが,その間一度もクラッチの分解点検は行われていなかった。