クレーンの災害事例
CR12021
事  例

つりクランプを用いてホイスト式天井クレーンでつった荷が落下し被災者に激突

[原因と対策]
業  種 金属製品製造業 機  種 天井クレーン
被  災 死亡1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし
 本災害は,スプライスを置く台木として使用するためのレールを,つりクランプを用いてホイスト式天井クレーンで操作していたところ,つり荷が落下し被災者に激突し死亡したものである。
 災害発生当日,朝礼終了後に,被災者に対してH形鋼をボルト接合するためのスプライス(当て板)を移動するよう指示が出された。そのため被災者は,鉄骨製品加工工場に設置されたホイスト式天井クレーン(つり上げ荷重2.8t,床上操作式)を用いて,スプライスを置く台木として使用するため,高さ2.2mに積まれたH形鋼の上に置かれていた長さ10mの30キロレール(質量300kg:以前に台車を移動させるための軌道として使用していたものを,軌道の撤去に伴い台木として転用していたものである)を取り出す作業中を行っていた。被災者は,一人で当該レールの中央付近下部ベース部分に0.5t用横つりクランプ1個で玉掛けし,ペンダントスイッチによりクレーンを操作してレールをつり上げ,約1.4m横行させてから,床より高さ1.2mまで巻下げたところ,クランプからレールが外れた。そのため,落下したレールが,すぐそばでクレーン操作を行っていた被災者に激突し,被災者はレールの下敷きとなり,胸部圧迫で死亡した。
 なお,クランプをかけたレールの,下部ベース部分はテーパー(傾斜)がついており,クランプのつかみ能力が十分に働いていなかったことに加えて,塗装皮膜により滑りが生じていた。更に長尺物の荷を一点でつり上げたことにより荷振れが発生し,クランプの爪にズレを生じさせていた。また,被災者は,クレーン運転及び玉掛け作業にかかる資格等は所有していなかった。
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