クレーンの災害事例
CR12061
事  例

クローラクレーンでつった鉄骨組部材がクランプからはずれ落下し被災者に激突

[原因と対策]
業  種 建築工事業 機  種 クローラクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし  本災害は工場棟新築工事において,つり荷であるH形鋼と溝形鋼により組まれた母屋材(以下,「組部材」と呼ぶ)をネジ式クランプを用いて玉掛けし,クレーンでつり上げ,右旋回したところ,組部材がクランプから外れて落下し,被災者に激突したものである。
 災害発生当日,被災者はH形鋼(高さ150,フランジ巾75,ウェブ厚5,フランジ厚7(mm)))3本と溝形鋼4本を格子状に組んだ組部材(質量約491kg,長さ約12m,。幅約3.5m)をネジ式クランプで玉掛けし,クローラクレーン(つり上げ荷重300t)を用いて高さ31.25mの屋根部分に取り付ける作業を行う予定であった。
 玉掛けは,クレーンのフックに専用つり具を下げ,その下にネジクランプを取りつけたワイヤロープ2本をつり下げ,クランプで組部材を掴みつり上げるといった方法で行われ,クランプの取付けは,組部材長辺の中間点2箇所で長さ約3.5mのH形鋼のフランジ部に,クランプを差し込み,手で締付けハンドルを回して締付けネジを部材に固定し,その後レンチで締付けハンドルを叩いて締め付けるといった方法であった。
 被災者は,同僚と2人で玉掛けした後,無線でクレーン運転手に合図を送った。地上から約10mつり上げ,右に1mほど旋回したところで,組部材が垂直に落下し被災者に激突し死亡した。
 災害調査の結果,巻上げワイヤロープの切断,フックやはずれ止め装置の破損・不備は認められなかった。さらに,専用つり具等の玉掛け用具についても破損等は認められなかったが,クランプの締付け痕からその取付け箇所は,H形鋼端部から片方が495mm,他方が275mm内側に入ったところであること,及びH形鋼フランジ部の奥行(フランジ端よりウェブまでの巾)は35mmしかなく,クランプの締付けネジはφ30mmで,その半分強しかかかっていなかったものと推測される。
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