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あらまし |
本災害は,製鋼工場内にてコンベアのチェーンベルト交換のため,取り外したチェーンベルトを天井クレーン(つり上げ荷重27t)でつり上げようとした際に発生したもので,クレーンは,つかみ機構(トング)つり具(自重9t)を使用していた。
ここで使用されていたつり具は,トングキーが受金具に嵌め合わさったり外れたりすることによって,アームが伸縮するものであった。
災害発生時,取り外したチェーンベルト(3~4重に折りたたんだ状態)を片付けるために,クレーン運転士はトングの状態を確認後巻上げ,さらに走行させた。次に被災者の合図でトングの向きを回転させ,その後横行させてチェーンベルトの上まで移動させた。ここで,被災者が巻下げの合図を送った。この時運転席から被災者までの距離は約20mであり,運転席から被災者は見えていた。運転士が巻下げ操作を行い,巻下げ中か巻下げ停止したところ,ドーンと音がしてクレーンが揺れ,ガーター灯が消灯した。確認したところ,被災者が倒れていた。被災直前には運転士はトングの位置を注視しており,被災者のことを見ていなかった。
なお,このクレーン運転士は当該クレーンを運転したことは過去に1日のみであった。
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