本災害は,マンション建築工事現場において,建設用リフトで3階にドア枠建具を運搬していた被災者が搬器横の開口部から約7m下の地上に墜落し死亡したものである。
災害時の工事現場状況は,躯体は既に最上階まで立ち上がっており,外周には枠組み足場が組まれていた。その足場の一部に建築部材の荷上げ用としての建設用リフト(積載荷重240kg,床寸法;幅1220mm,奥行780mm)が設置されていた。搬器の周囲には手すりはなく4隅に建てられた高さ約900mmのポールからチェーンが張られているだけであり,チェーンは若干たわんでいて,最も低い位置で約770mmであった。また,積卸口の対面(奥側)は昇降路壁(足場の筋かいがあり,養生ネットが張られている)と搬器との間は380mmであった。
災害発生当日の被災者は,ドア枠建具材の搬入予定が11時であったことから,10時半頃に現場に到着し,朝礼や安全ミーティングには参加せず,1人で作業を行っていた。
14時頃,設備業者の1人が材料を取りに車に戻る途中,建設用リフト昇降路1階のそばを通ったところ,リフトの搬器下付近の地面に被災者が倒れているのを発見した。すぐに救急車で病院に運んだが,死亡が確認された。
災害直後,搬器は3階に止まっており,3階以外の取込口の戸は閉まっていた。また,安全帯は使用されていなかった。
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