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あらまし

　本災害は，鉄骨加工工場において，天井クレーンを用いて電動台車（以下台車という。）の端に載せたところ，台車がバランスを崩して当該鉄骨とともに被災者側に倒れ，側方に積まれていた鋼板との間に挟まれ被災したものである。
　災害時の作業は，一次加工した６本のボックス状鉄骨柱（寸法11.2m×0.6m×0.6m，１本の質量10.3t）を隣の加工棟に移動させるために，工場内に設置された軌道上を走行する台車に，天井走行クレーン（定格荷重10.0t）を用いて載せる作業であった。
　被災者は同僚と２人でボックス状鉄骨柱専用のつり具で玉掛けし，介錯ロープを取付け，クレーン運転者に合図を送り台車上に移動させた。移動後，被災者は介錯ロープを手繰ってつり荷を90度回転させ，クレーン運転者に合図をして，一旦台車上のやや東寄りに下ろした。しかし，次の柱を積むことを考慮してか，被災者は再度クレーン運転者に合図をして位置をさらに東側に移動させた。荷を下ろしたあと被災者は台車の東側に，同僚は次の柱の玉掛けをするために西側に移動していた。その直後，台車が東側に横転し，被災者は台車と傍らに集積されていた鋼板との間に挟まれ，被災した。