クレーンの災害事例
CR13061
事  例

トラッククレーンで貨物自動車の後部をつり,故障箇所を点検中につり具が切断し被災者が下敷きとなる

[原因と対策]
業  種 自動車整備業 機  種 トラッククレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし  本災害は,道路上で故障した大型貨物自動車を修理するため,貨物自動車後部を移動式クレーンでつり上げ,その車体の下にて修理作業を行っていたところ,玉掛け用具が切断し,つり上げていた貨物自動車が作業中の被災者に落下したものである。
 災害発生時,故障した大型貨物自動車(最大積載量13.1t,車両総重量24.99t,車両長さ11.98m;以下貨物トラックと称す)を修理するため,トラッククレーン(つり上げ荷重16t)で貨物トラックの後部をつり上げるべく,ベルトスリング(許容荷重4.8t,長さ6m,幅15cm,両端アイ形)2本のそれぞれ1端をシャックルで直列に接続し,故障した貨物トラックの荷台下両側にある穴を通して荷台の下を回し,両端のアイをクレーンフックに掛けて貨物トラックの後部をつり上げた。当該貨物トラックには後輪が後前軸と後後軸の2軸有り,後後軸のタイヤが15cm程浮き上がり,後前軸のタイヤは浮き上がるか浮き上がらない程度であった。
 貨物トラックをつり上げた状態のまま,被災者は後前軸と後後軸の間の,貨物トラックの下側に仰向けに寝そべって入り,修理作業を行っていたところ,突然フックに掛けていたベルトスリングのアイ部分が切断し,つり上げていた貨物トラックが落下した。被災者が作業していた場所は,貨物トラックの部品が下側に張り出しており,トラック底部と道路面との間に胸部が挟まれ被災した。
 災害後にベルトスリングに負荷された荷重を算出したところ,約7.6tと判明した。この荷重はベルトスリングの許容荷重(安全荷重)4.8tに比べ非常に大きな荷重であった。
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